新しい出会いの形として、スマホ上のアプリを通じて理想のパートナーと出会える”マッチングサービス”が、日本で急速に成長している。市場規模は2018年に350億円以上、2023年までには850億円以上にまで拡大するとの予測データがある。
そんな国内マッチングサービス市場の成長を牽引しているのが、サイバーエージェントグループだ。同社は現在、2018年5月に会員数が350万人を突破した『タップル誕生』を始め、グループ横断で計3つのマッチングサービスを展開しており、若い世代を中心に国内における多くの「出会い」を創出してきた。それぞれの切り口やメインとなる機能は異なるものの、3つともに共通している観点は「20代の恋愛のスタンダードをつくる」、ということだ。
LoveTechMediaではサイバーエージェントグループ第4の事業柱としてのマッチングサービスについて、これまでの振り返りから現在のお取り組み、今後の展望・ビジョンについて、前編・後編に渡ってお届けする。
まず前編では、サイバーエージェントグループのマッチングサービス統括責任を担う合田武広氏と、『タップル誕生』を運営する株式会社マッチングエージェント取締役の伊香賀淳氏に、それぞれお話を伺った。
人の人生を変えるような事業をしたかった
--まずはお二人の現在のお仕事についてお伺いさせてください。
合田武広(以下、合田氏):株式会社マッチングエージェント代表取締役としてマッチングサービス『タップル誕生』を運営しています。また、株式会社サイバーエージェント執行役員として、グループ全体のマッチングサービス事業を統括的な立場で推進しています。
伊香賀淳(以下、伊香賀氏):株式会社マッチングエージェント取締役として、同じく『タップル誕生』の運営をしています。合田とは弊社設立以前の、2011年からの付き合いになります。
--結構長いですね!もともとどのようなきっかけの出会いだったのですか?
伊香賀氏:二人ともサイバーエージェントの新卒内定者同期だったんです。そこで知り合ったのをきっかけに、社内外様々なビジネスコンテストに一緒に出るようになったのがきっかけでしたね。
合田氏:お互いエンジニア採用だったのですが、ビジネスの企画を考えるのが好きなタイプで、一緒にプロダクトを作っていくことになりました。
(内定者時代のお二人)
--最初はどのようなサービスを出されたんですか?
合田氏:まだ学生だった2011年に「ブレークスルーキャンプ2011 Summer」というビジネスコンテストがありまして、そこに伊香賀と参加して、『Facematch』(後に『Pitapat』に名称変更)というサービスを発表し、優勝しました。
この時に初めて、異性をマッチングさせるプロダクトを作りました。
僕自身、当時から人の人生を変えるような、またライフスタイルのインフラになるような事業をやりたいと考えていて、多くの方にヒアリングしリサーチしたところ、皆さん「出会いがない」という悩みを多く抱えていることがわかりました。当時アメリカではFacebook連携しているデーティングアプリが沢山あって人々の生活に浸透している一方で、日本ではいわゆる”出会い系サイト”が横行していて、オンラインで他人と出会うことへの抵抗が大きい時代でした。そこで、もっとちゃんとした仕組みで、しかも赤の他人ではなく、Facebook上の知り合いを通じて出会える仕組みを作っていきました。
伊香賀氏:その時から「結婚相手を探す」というよりかは、「お互いに興味のある人とつながる」という、気軽な出会いをコンセプトにサービスを提供していました。
--その時代から「気軽な出会い」というコンセプトを意識されていらしたんですね。そこから現在の『タップル誕生』までは、どのような流れだったのですか?
合田氏:まず『Facematch』の事業で自分たちで起業・法人化するかサイバーエージェントに入社するか、悩みました。最終的には代表の藤田に相談し、そのまま同社のグループ会社として事業を展開することになりました。ただ、いざ会社として事業を進めて行くと、ビジネスとしてやって行くことの難しさを痛感しまして、表向きはメディアなどにもたくさん取り上げてもらってそれなりに注目して頂けていたのですが、結局は半年で事業を終了することになりました。
伊香賀氏:それから僕は1年くらい別の部署で別事業を担当することになって、その後改めて現在の弊社に合田から声をかけてもらって、また一緒にマッチングサービスをやることになりました。
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