記事の要点
・株式会社tsamが、オンラインで行われる交流会に特化したWebサービス「エリンギ」を正式リリース。主催者はオンライン交流会のイベントを作成することができ、また参加者は主催者が作成したイベントにて、ルームと呼ばれるスペースで複数の人と同時に交流することができる。
・簡単なルーム作成・追加機能のほか、参加者同士によるプロフィール交換機能や別ルームからの招待機能、参加者同士によるダイレクトメッセージ機能など、オンライン交流に必要な機能がシンプルに実装。
・月に数回しかイベントを開催しない主催者でも利用しやすいよう、都度課金のみの料金プラン。
LoveTechポイント
コロナ禍を経て、人との交流機会が減ってSNS上での新規の繋がりも増えにくくなったとの声が、各所から聞こえてきます。このような交流頻度と深度の逓減は、中長期的な社会的接点の低減にも影響し、人々の孤独化・孤立化の一因にすらなると感じます。
だからこそオンラインでの交流深度の設計は喫緊の課題であり、そこに向けたソリューション設計を進めているエリンギは、LoveTechなツールだと感じます。
編集部コメント
世界中を混乱に陥れた新型コロナウイルス感染症。その感染拡大防止に伴う政府からの外出自粛要請により、人々は大きく、そして半強制的にライフスタイルのDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めることとなった。
Zoomをはじめとするリモートツールを活用した在宅勤務への移行とオンライン会議への参加、リアル店舗からECショップへの購買活動のシフト、置き配スタンスの普及等。外出自粛要請が解除され、全国的な感染者数が逓減トレンドとなっている現状においても、ウィズコロナを前提とした“ニューノーマル”への模索が各界で進んでいる。
そんな背景の中、未だに大きく影響を受けている業態の一つが「イベント業」だろう。コロナ禍を経て、規模の大小を問わず多くのイベントがオフラインからオンラインへの切り替えを余儀なくされている。
9月19日以降に、政府は大規模イベントにおける人数上限及び収容率の緩和を発表したが、そうはいっても感染症拡大リスクへの懸念自体が払拭されたわけではないので、コロナ以前と比べるとオンライン開催の比率が圧倒的に高い状況である。そしてこのトレンドは当面、いや、もしかしたらニューノーマルとして中長期的に続く可能性が高いとも言える。
ここで問題となってくるのが「交流会」のあり方だ。
ビジネスシーンや交流の場で名刺交換をし、関係を深める交流会への参加があったからこそ、様々な人とのつながりが創出できたという方も多いと思う。だがオンライン文化においては、交流というものが極めて「しにくい」状態だと言える。
Zoomは1対nのコミュニケーションが前提となる仕様なので個別の交流には適さないし、Remoは物理空間を模した仕様として注目されたものの、参加者にとってはスマホライクではなく、また主催者にとっては価格の高さも相まって、一般的な普及には至っていない。
そもそも、いずれもが「ウェビナー」を起点として設計されているものと言え、第一原理思考で交流会のオンライン開催を考えられたものではないことから、交流会用途としては使いにくいと感じるのは、ある意味で自然なことである。
そんな課題感から、10月1日に正式リリースされたのがオンライン交流会サービス「エリンギ」である。
エリンギは、オンラインでの交流会に“特化”したビデオ通話システム。初対面同士でも、オンラインでスムーズにコミュニケーションを取ることができるツールとして設計されたサービスだ。具体的には、以下の機能を実装している。
- 簡単なルーム作成・追加機能
- ルーム毎のカスタマイズ機能
- 参加者同士によるプロフィール交換機能
- 別ルームからの招待機能
- 参加者同士によるダイレクトメッセージ機能
- イベント参加者の検索機能
- イベント参加者全体へのアナウンス機能
- 主催者向け、参加者リストのCSVダウンロード機能
上記からもお分かりの通り、ポイントは「ルーム」である。
エリンギでイベントを作成すると、その中に複数のルームを作成することができる。イメージとしては以下の通りだ。
交流会参加者は、このエリンギ空間上に作成されたルームを、自由に行き来することができることになる。例えば、10人まで入れる和気藹々とした部屋もあれば、定員が2人までの面談ルームまで、用途に応じて様々なバーチャルルームを設置することができ、参加者はそれらルーム間をシームレスに移動できるというわけだ。
具体的な画面は以下の通り。
イベントに参加して、任意のルームに参加すると、赤枠の通り他のルームが表示されて、「参加する」ボタンを押すと、そのまま気軽に別ルームへと移動できる。ルームにはバナーをつけてPRをすることも可能で、また鍵マークがついたルームはパスワードが必要となるので、運営者は参加者属性に応じて入室できる部屋を制限することも可能だ。
参加者はFacebookかTwitter、もしくはメールアドレスでアカウント登録することになり、SNS経由で登録した場合は、そのままルーム参加者一覧に各SNSへの導線アイコンが表示される。オンラインイベントだと、SNSで繋がりたいと思っても、例えばFacebookであれば名前から検索してつたっていくしか方法がないケースがほとんどである中で、サクッと繋がれる機能が実装されているのは有難い。
さらにエリンギはスマホブラウザにも対応していおり、iOSではSafari、Androidではchromeををそれぞれ利用できるので、より気軽な参加も可能となっている。
なぜ今回、このエリンギを開発したのか。運営会社である株式会社tsam 代表の池森裕毅氏によると、「既存のサービスではビデオ会議システムなどを使って交流会を擬似的に再現することはできても、オンラインであることの良さを活かしきれてはいない」ことに課題を感じていたからだという。
池森氏:「実はエリンギは、元々は自分用のツールとして開発したものです。コロナ禍でオフライン交流会が下火になったことをきっかけに、私自身も様々なオンラインツールを使ってイベントに参加していったのですが、特に交流会に絞ってみてみると、オフラインの体験に引っ張られているものばかりだと感じていました。
例えば画面上のマップで近づくと声が聞こえてくるといった機能は、確かにおしゃれなのですが、オンラインで交流するにあたって必要なものかと言われると、実はそうでもないのではないかと考えています。
デザイン性は必要ない。かっこいいロゴもいらない。シンプルでサクサクと動くオンライン交流ツールが欲しいと思い、6月あたりまで待っていましたが、なかなか現れなかったので、自分で作ることに決めました。」
では、なぜ今回、汎用的なツールとして展開することになったのかと言うと、テスト展開した際の反響が大きかったのだと言う。
池森氏:「6月から1ヶ月程度でシステムのα版を開発し、実際に知り合い界隈で使い始めたのですが、想像以上に反響があったので、本腰を入れての開発をスタートしました。
8月24日にはβ版をリリースしたのですが、即座に企業からM&Aの話が来たり、実際のテストイベントでも毎回10名を超えるユーザーが登録・参加するなど、想定以上のニーズがあると確信して、一ヶ月間ひたすらフィードバックからの改善を繰り返して、今回の正式版リリースに至りました。」
そんな個人プロジェクトからスタートしたエリンギは、今後、「国産のオンライン交流プラットフォーム」として成長させていく予定だと、池森氏は強調する。
池森氏:「ビフォアコロナでは、オンラインで上げられる参加者エンゲージのアッパーは、たかが知れている状況でした。でもコロナ禍を経て、オンラインの良さもあることに、人々は気づき始めました。
一方で、エリンギ含め、全てのオンライン交流プラットフォームはオフラインの体験に引っ張られていて、どれも未だオンラインの最適解に至っていません。
だからこそ、国産のサービスとして、オンライン交流のグローバルスタンダードを目指して参りたいと思います。」
オンライン交流だからこそのメリット最大化を目指すエリンギは、月に数回しかイベントを開催しない主催者でも利用しやすいように、都度課金のみの料金プランとなっている。
初回は30分間の無料トライアル開催も可能なので、ウィズコロナ時代のニューノーマルなオンライン交流の仕様に興味のある方は、気軽にイベントを開催してみてはいかがでしょう。
以下、「エリンギ」サービスページとなります。