自宅キッチンで最高の食育を提供する「かぞくごはん」《後編》

インタビュー

 自宅訪問型の料理体験サービスを展開する株式会社かぞくごはん。

 前編では、料理や家庭教育の経験豊富な“エプロン先生”と共にユーザーのご自宅に訪問し、教育カリキュラムの現場に同行させていただいた。

 後編では、かぞくごはんを立ち上げた、同社代表取締役CEOの髙橋未来(たかはしみく)氏に、設立やサービス設計の思いを伺った。

》前編記事はこちら

※「かぞくごはん」サービスは2018年10月31日で終了となりました。

エプロン先生は一人ひとり経営陣が直接面接しています

--先日はエプロン先生に同行させていただき有難うございました!現場の雰囲気が非常によくわかりました。そもそもエプロン先生はどのように採用されているのですか?

髙橋未来(以下、髙橋氏):今エプロン先生は20名ほどいるのですが、全員、私かCOOの者が面接して決めています。

 

--高橋さんが直接面接されるんですね!

髙橋氏:弊社はここでの採用が一番大切なんです。なので、めちゃくちゃ熱く話しています。弊社のコンセプトや思いに共感できる方だけを、エプロン先生候補として採用するようにしていますね。

今までのご経験も生かしていただきつつ新しくエプロン先生というお仕事にチャレンジしていただけるように研修制度も整え、エプロン先生の育成にも力を入れております。

その結果、ユーザー様からの満足度が高い水準で保てております。

(前編で伺ったご家庭でのエプロン先生とお子さま)

 

--先日のエプロン先生も、子どもが大好きで素敵な方でした。採用後はどのようなカリキュラムなのでしょうか?

髙橋氏:弊社では食育を進めるにあたって、以下の家庭教育4原則を定義しています。

 1、好奇心を阻害しない

 2、個性を尊重する

 3、正解を定義しない

 4、失敗を許容する

この4原則に則った「かぞくごはんメソッド」を、座学プログラムとして用意しています。また、実際の現場を知っていただくことが最重要ですので、座学と併せて先輩のエプロン先生について行ってもらってのOJTをしてもらいます。この時はサブとして同行していただきます。

最後に実践テストとして、ご自身がエプロン先生としてユーザー訪問をしていただき、そこでの振る舞いや内容を吟味して、エプロン先生として活動いただけるようにしています。

 

--しっかりとされた教育体系ですね。エプロン先生はどのような方が多いのでしょうか?

髙橋氏:現在は、20代の方が8割を占めていますね。女性がほとんどですが、男性ももちろんウエルカムです。

 

--若い方が多いですね。

髙橋氏:私の所感ですが、今の20代の方々って、食育に興味がある人たちが多いと感じます。でも、その興味や知識を活かす場所が意外と多くない。

ネットで検索して私たちにたどり着いていただき、「こんなことをやっているところがあったんだ!」と、興味を持っていただくケースも多いようですね。

 

大人が忙しすぎて子どもとの時間をとる余裕がありません

--そもそも髙橋さんが、かぞくごはんを始められたきっかけを教えてください。

髙橋氏:とにもかくにも、大の子ども好きなところからスタートしています。

私には歳の少し離れた姉がいるのですが、私がまだ小学生の頃に出産をしたので、子どもの頃から「育児」がとても身近な存在でした。

大学卒業後の新卒ではIT企業に入社したものの、徐々に自分の中の「子ども大好き」な思いを仕事に活かしたいと感じるようになり、退職後は対象年齢0歳からの幼児教室で勤務することになりました。

 

--まだ、”食”のキーワードが出てきませんね。

髙橋氏:もともと一人暮らしを始めた時に料理の大切さを知りまして、フードコーディネーターなど料理の資格を取りました。でも実はこの時はまだ、”食”と”教育”は結びついていませんでした。

幼児教室での勤務中に、保護者の皆さまから食や教育に関するご質問をいただくことが多くて、この時初めて、食と教育って密接にリンクしている、と感じました。

これが、かぞくごはんを始めようと思ったきっかけですね。

 

--エプロン先生が自宅を訪問してお子さん主体で料理を体験させるって、色々な食育サービスの中でも、相当斬新ですよね。

髙橋氏:ここは弊社チーム内で、どうやったら各ご家庭に負担なく食育の機会を提供できるかを、とことん考えていきました。

各ご家庭の両親がお子さまとの時間をしっかりと確保し、料理を教えて褒めてあげるのが一番だと思います。

でも今の社会では、大人が忙しすぎるんですよね。共働き家庭が多くなり、核家族化も進んでいるので、教育も食事も効率化を求めざるを得ず、子どもとの時間をしっかりと確保できていないご家庭がたくさんいらっしゃいます。

そこで、子どもに料理体験させるエキスパートをご自宅に派遣することで、子どもに学びを提供し、且つ親御さんの負担を軽減することができると考えました。

 

料理体験を通じて自信がついた子どもがたくさんいます

--ベビーシッターとはまた違うコンセプトですね。

髙橋氏:そうですね。ベビーシッターは自分のための時間を使うことを優先して利用されるケースが多いと思いますが、弊社のサービスは「子どもを褒めてあげるための余裕を作るために、自分の時間を確保する」という考えで設計しています。

 

--子どもは褒めてもらうと、本当に嬉しそうですからね。

髙橋氏:先日もユーザー様より感想を頂戴しまして、「元々はすごく引っ込み思案だった子が、エプロン先生との料理体験を通じて、自信がつくようになった」という嬉しいお言葉をいただきました。

また、料理体験の前後でお子さまの態度が変わったとのご感想もいただきました。これまでは料理を作ってもらうことを当たり前と思っていたようで、お母様がキッチンに立っていると、「僕はお腹が空いてるのになんで早く作らないのー!」って怒鳴っていたようなんです。でも自分で料理体験をすると、お母様は30分で料理を準備するのに対し、料理完成まで1時間半もかかったんですね。それで料理の大変さを知ったようで、今では「ママすごい!何かできることない?」って言ってくれるようになったようです。

 

--お子さま自身が体験することが大事なのですね。

髙橋氏:そうなんです。

そもそもの弊社のミッションは、料理に限らず「自分なりの判断軸と思いやりを持つ人を育む」ことと決めています。AIや自動化などと言った文脈で、これからの時代はますます人間にしかできない力を養う必要があると考えています。そしてそれは何かと言うと、0から1を生み出す思考だと思います。

実際の体験こそが、ゼロイチ思考を養うための重要なステップと位置付けています。

 

子どもの成長を可視化できる機能を開発中です

(かぞくごはんトートバッグと髙橋氏)

 

--それにしても、貴社サービスのキャラクターが可愛いですよね。

髙橋氏:ありがとうございます!弊社デザイナーと一緒に、しっかりと世界観を作りながらキャラクターを設定しました。

全部、料理にちなんだキャラ名なんですよ。

 

--と言いますと?

髙橋氏:左から「ヤキリン」「ターベルタイガー」「ニルリチョウ」「イタメー」「モグモグラ」「カムース」です!

 

--なるほど!焼く、食べる、煮る、炒める、もぐもぐ、噛む、ということですね!色とりどりで素敵です。

髙橋氏:LINEスタンプも作りましたので、よろしければぜひご利用ください!


 

--今後、取り組まれていきたいことなど、教えてください。

髙橋氏:今は手動でエプロン先生とユーザー様のマッチングをしているのですが、これをWEB上で自動化できるようなシステムを構築していく予定です。

また、WEBで子どもの成長を可視化できるような「MyPage(以下、マイページ)」機能も、現在開発中です。

 

--マイページには、どのような内容が確認できる想定でしょうか?

髙橋氏:写真や文章を使っての成長記録やアルバムの他に、エプロン先生や私たちからの通信簿をつけて、成長過程を確認いただけるようにします。

特に通信簿については、先ほど申し上げた弊社の「教育4原則」に則った項目を現在作ろうとしています。数値化が難しい分野なのですが、こういった非認知能力(※)を可視化していきたいと考えています。

 

※非認知能力:IQや学力テストなどの認知能力ではないもの全般をいいます。具体的には、誠実さや忍耐心、リーダーシップ、コミュニケーション能力など。経済学や心理学で使われる言葉です。

 

--ありがとうございます。最後にLove Tech Media読者の皆様に一言お願いします!

髙橋氏:先ほどもお伝えした通り、弊社は「すべての人が自分で考えて行動できる社会」を実現していきたいと考えています。

食育基本法でも食育はすべての教育の基礎とされており、弊社は料理体験サービスを通じて、お子さまの自発的な料理体験をサポートし、大切な時期の心と身体の健全な成長を促して参ります。

季節に応じて色々なキャンペーンを実施していますので、お気軽にお問い合わせください!

 

編集後記

エプロン先生のご家庭訪問の同行からスタートした本取材でしたが、実際に料理を体験し、新たな発見をされるお子さまに寄り添う姿を拝見し、すべての親子にとって素敵なサービスと感じました。

料理はどうしても「ママが作るもの」という認識が強い家庭が大半かと思いますが、そこに「なぜ」と「どうやって」を問いかけ自分で体験させることで、常識と思っていたことが実はすごいことなんだという発見につながる、素晴らしい気付きの場の提供と感じました。

今後の「お子さまの成長の可視化」こそ、まさにLove Techな内容と感じますので、また完成次第、お話を伺いたいと思います。

かぞくごはんのサービスピッチをする髙橋氏

本記事のインタビュイー

髙橋未来(たかはし みく)

新卒でIT企業にコミュニケーションスタッフとして入社。その後、対象年齢0歳からの幼児教室にて勤務し、幼児教育のノウハウを学ぶ。保護者の方から食や教育の相談を多く受ける機会があり、「食と教育の悩みは、お互いを通じて解決することができる」という気づきを得る。
食を通じた教育を実現することで、多くの保護者の方の役に立つことができるのではないかと考え、2018年2月にかぞくごはんを創業。

LoveTechMediaは、【恋愛/結婚】【妊娠/出産】【育児】【家族生活】【福祉】【社会課題】の6分野を「人の”愛”に寄り添うテーマ」と定義し、これらのテーマをテクノロジーで補完する「人とサービス」の情報(Intelligence)をお届けする、というコンセプトで運営しています。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

LoveTechMedia

テクノロジーに触れないことによる”愛”損失を最小限に留める。
LoveTechMediaとは