ベビーシッター全員が国家資格保持者の「キズナシッター」、業界の起爆剤になるか《後編》

インタビュー

 登録しているベビーシッター全員が保育士・幼稚園教諭・看護師のいずれかの国家資格保有者の「KIDSNA キズナシッター」(以下、キズナシッター)。

 前編では、保育士資格と幼稚園教諭免許をお持ちのシッターさんによるシッティング現場に同行させていただき、その様子をお伝えした。また中編では、株式会社ネクストビート キズナシッター事業責任者である中村暁志(なかむらさとし)氏に、サービスリリースまでの経緯や運営にかける思いなどを伺った。

 後編では、運営サイドから見た利用者のお話や今後の目標や取り組みについて、引き続き中村氏に伺った。また最後に、キズナシッター運営事務局を担当されている方にも、日々のシッターさん及びユーザーとの向き合い方について、お話を伺った。

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「このサービス、絶対になくならないで」という嬉しい声

--キズナシッターのユーザー属性について教えてください。

中村暁志(以下、中村氏):年齢分布で言いますと、20代が14%、30代が64%、40代が21%という状況で、女性ユーザーが8割強です。

サービス設計段階で想定していたユーザー層と、だいたい一致しています。

 

--ユーザーさんの傾向などあるようでしたら教えてください。

中村氏:具体的な数字は公表していませんが、利用者の方のリピーター率が非常に高い印象です。

保育士さんや幼稚園の先生など、プロだからこそのシッティングの質の高さに感動した、安心して預けることができる、といった声が多いですね。

中には、「シッティング後のレポート内容が詳しくて感動した。子どもと何をして過ごし、子どもがどんな反応をしたのか目に浮かぶように分かり、まさに保育園の先生のような安心感だった。」という声もいただき、運営サイドとして、ありがたい限りです。

シッティング後のレポート例。定型のレポートフォームがあるわけではなく、シッターさんによって個性が出るところ

中村氏:あと、これも個人的な所感ですが、育児に対して特に真剣な方が多い印象です。ベビーシッターサービスを選定する際に、お値段ではなくシッターさんの質や特徴で選ばれる方が多いので、自ずとそうなるのかもしれません。

 

--確かに、先日(前編で)同行した際の保護者様も、非常に育児への意識が高い、素敵な方でした。これまでで印象的なユーザーさんのエピソードなどあれば、教えてください。

中村氏:最初にヒアリングさせていただいたユーザーさんは印象的でした。

その方は年長のお子さまがいて、勤めていらっしゃる会社の福利厚生を通じてキズナシッターをご利用いただきました。

何か用事があるときは、いつも祖父母に預けていたらしいのですが、高頻度で預けすぎたことで、お願いしにくくなっていたようでして、やむなくキズナシッターに申し込まれた、という背景でした。

それまでベビーシッターサービスを使われたことがなかった方なのですが、キズナシッターのシッティングを経て「プロによる保育はこんなにも良いものか!」と感動され、「こんなに良いサービスなのに、他より手頃な値段。こんなに安く提供されて、御社は採算とれていますか?」「絶対につぶれないでくださいね!」と、逆に心配されました。

とても嬉しかったですね。

今、専門家とユーザーのマッチング市場が熱い!

--他の企業や自治体との連携事例などあれば、教えてください。

中村氏:まず企業さんとの連携事例としては、栄養士や調理師など食の専門家による出張料理サービスを展開している株式会社シェアダインさんと、キャンペーンのコラボを実施しています。

[キャンペーンURL]https://sitter.kidsna.com/article/article/1305

中村氏:シェアダインさんのユーザーさん限定で、一時間分の面談料を無料でお試しいただける、というキャンペーン内容です。2019年3月31日までの初回面談ご利用分までという、期間限定のAmazonコードでのキャッシュバックキャンペーンです。

実はシェアダインさんとは、昨年(2018年)末に開催された「子育Tech Meetup」イベントでご一緒したことがきっかけで、話を進めていった次第です。(イベント取材記事はこちら

こういった取り組みはシェアダインさんに限らず、どんどん増やしていきたいと考えています。

 

--キズナシッターさんは保育士など保育関連の有資格者と、シェアダインさんは栄養士など食関連の有資格者と、それぞれユーザーがマッチングするので、サービスとしてお互い非常に相性が良さそうですね。

中村氏:まさに、こういった専門家とユーザーのマッチングプラットフォームは、これからますます盛り上がっていく領域だと考えています。BtoCでもCtoCでもなく、専門家toCといったモデルですね。

 

--専門家の方だと安心感が違いますよね。自治体は安心・安全を重視するので、こちらも相性が良いと感じますが、どこかと取り組みを進めていらっしゃいますか?

中村氏:キズナシッターはベビーシッター専業サービスとしては初めて、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が運用するシェアリングエコノミー認証を取得しています。

その流れで、渋谷区の「シェアリングシティ構想」を推進する民間企業パートナーの1社として、何ができるかを一緒に考えているところです。

今後は、自治体との取り組みも増やしていきたいと思っています。

シッターさんの無断遅刻・欠席クレームは0件

--ベビーシッターサービスって、使ったことのない方が「使おう」ってなる心理的ハードルが、他サービスよりも高いと思っています。それに対するキズナシッターさんの取り組みを教えてください。

中村氏:なかなか言語化しにくい部分なので、我々も試行錯誤しているところです。

一点言えることとしては、目の前で使っているユーザーさんに、しっかりと丁寧な対応をする。これに尽きると思っています。

そこからプラスの口コミが広がっていき、必要な人にしっかりと届いていくと考えています。

キズナシッターではリリースから1年経過しても、未だにシッターさんの無断遅刻・欠席のクレームが0件なんですよ。

当たり前と言われるとその通りなのですが、300名以上が1年間稼働する中での0件という数字は、登録いただいているシッターさんお一人おひとりが、プロ意識を持って対応してくださっている証拠だと思います。

 

--1年間運用されて0件って、本当にすごいですね!皆様のプロ意識と併せて、電話やメッセージなど、事務局との密なコミュニケーションの賜物でもありますね。最後に、今後の目標について教えてください。

中村氏:利用者が増えてくれることを目標にしていますが、弊社本位の急拡大は不本意とも考えています。

あくまで安全第一で進めていきます。

シッター希望の方も、全員を受け入れるわけではなく、お子 様を安全にお預かりできる責任感があるか、保護者とのコミュニケーションをしっかり行える方かといった観点で判断させていただいてます。

「ベビーシッターサービスはなんだか不安、だけど気になっている。」

そんな方にこそ、使っていただきたいです!

優しく、丁寧で、元気なキズナシッター運営事務局

 最後に、キズナシッター運営事務局を担当されている本田朝子(ほんだあさこ)氏にお話を伺った。実は筆者がアプリで利用登録を進めていったとき、電話でフォローをしてくださったのが、本田氏である。

 

--先日はお電話にて有難うございました!僕にお電話されたみたいに、ユーザー一人ひとりにお電話でフォローされていらっしゃるのですか?

本田朝子(以下、本田氏):はい。もちろん私だけではないのですが、私も含め、新規登録者に対して、本人確認書類提出前の方には電話で、本人確認書類提出後で本登録された方にはメールで、それぞれフォローする仕組みにしています。

 

--電話口の印象が優しい感じだったので、サービス自体に非常に好感が持てました!普段はそのようなユーザーフォローがメインでしょうか?

本田氏:他にも事務局として、シッターさんのフォローや、説明会の対応などを担当しています。

 

--先日も、私がシッティングの現場に同行した際に、シッティング後のシッターさんとカフェで面談されていらっしゃいましたね。ああいう形で、頻繁にコミュニケーションを取られるのでしょうか?

本田氏:説明会は対面で実施していますが、それ以降のコミュニケーションは、基本的にはメッセージと電話ですね。特に、最初のシッティングが終わったら、必ず電話をかけてフォローするようにしています。

シッターさんとシッティング後ヒアリングをされる本田氏

--説明会は、本田さんが対応されることが多いのですか?

本田氏:ほぼ全員、私が担当しています。

2018年6月に入社してからずっと、説明会はメインで担当しているのですが、入社時点でシッターさんは200名いました。今は330名強ですので、約半年で130名以上の方とお話しさせていただきました。

ちなみに説明会は1対1で実施することが多く、1週間でだいたい5〜10名の方とお話しさせていただいています。

今では登録シッターさん全員の顔と名前と特徴が一致しますよ!たぶん(笑)

 

--それはすごいことですね!全体的に、めちゃくちゃ丁寧な対応ですよね。

本田氏:ユーザーやシッターさんの人数が急激に増えたら、運営方法を変える必要が出てくると思いますが、現状はこんな形で一人ひとりになるべく寄り添うようにしています。

 

--最後に、今後取り組まれていきたいことなどありましたら、教えてください。

本田氏:シッターさんお一人おひとりの個性を尊重しつつ、スキルのバラつきを無くしてスキルアップできるような、定期的な研修会を実施できたらなと妄想しています。

あと、今はまだキズナシッターとして対応できていない病児保育についても、対応できるようにしていきたいと考えています!

 

編集後記

今回の取材を通じて、まず潜在保育士の人数と割合の多さに驚きました。

資格を活かしたいのに活かせていない方がこんなにいらっしゃるからこそ、その受け皿となるキズナシッターのようなサービスは、非常に社会的意義のあるLove Techな取り組みであると実感しました。

 

そして取材を通じて感じたことですが、運営チームの皆様が非常に仲が良く、社内の雰囲気・風通しが最高に良いと感じました。

 

良いサービスは良いチームから生まれます。

 

手段と目的が逆転することなく、あくまでこのサービスが必要な方達に丁寧にソリューションを届けていく姿勢も、非常に素敵だなと感じました。

 

これからもキズナシッターの展開を見守って参りたいと思います!

株式会社ネクストビート 本社受付スペース

 

『KIDSNA キズナシッター』詳細についてはこちらをご覧ください

 

本記事のインタビュイー

中村暁志(なかむら さとし)

株式会社ネクストビート キズナシッター事業責任者

リクルート入社後、一貫してHR(就職・転職)関連サービスに携わる。転職情報誌「B-ing」、転職情報サイト「リクナビNEXT」、人材紹介サービス「リクルートエージェント」のサービス企画開発に従事し、全社MVP受賞。企画部門マネジャー、新規事業開発などを担当した後、退職。2016年にネクストビートに入社。KIDSNA(キズナ)サービス全般の事業の立ち上げを行い、現在はキズナシッターの責任者を務める。

本田朝子(ほんだ あさこ)

株式会社ネクストビート キズナシッター運営事務局

24歳の時に自身で民泊を立ち上げ。シェアリングエコノミーの代表とも言える「Airbnb」を活用し、半年で50件以上の運営に成功。当時半数以上のスタッフが子育て中のママだったこともあり、「子育て中の女性を支えたい」という想いが募り、ベビーシッター事業に関心を持つ。
2018年6月、KIDSNAキズナシッター事業部に加わり、それ以降、サービス設計に従事。シッターさんと保護者の方々の架け橋となり、質の底上げを日々実践中。

LoveTechMedia編集部

恋愛/結婚・妊娠/出産・育児・家族生活・医療/福祉・社会課題の6分野を「人の”愛”に寄り添うテーマ」と定義し、これらのテーマにおけるテクノロジープロダクトや...

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