何が原体験って、毎日が原体験です
--まずは鹿野さんの現在のお仕事についてお伺いさせてください。
鹿野佑介(以下、鹿野氏): 2013年の創業から、株式会社ウェルモの代表として活動しております。
--介護というテーマで起業されたのは、なぜなのでしょうか?
鹿野氏:もともと僕の中で「日本をどうにかしたい!」という思いがあって、「人がイキイキと働く」ということに大きな関心がありました。
朝の通勤電車とか乗っていただくとわかると思うんですが、皆さん、目が死んでるじゃないですか。こんな社会じゃ絶対ダメでしょ!という強い思いがあって、だから「介護ありき」というよりかは「日本をなんとかしたい!」という意識から始まっています。
--こう話されていても、すごいエネルギーを鹿野さんから感じます。そのパッションはどこから来るのでしょうか?
鹿野氏:よく「原体験ってなんですか?」って聞かれるんですけど、無いんですよね。
むしろ毎日が原体験とでもいうべきでしょうか。
日々のニュースを見ていても、病んだ事件がたくさんあるじゃないですか。それらの事件に対して「なんとかしなきゃ」というところで止まっていないで、「じゃあなんで発生したんだろう」「どういう仕組みになったら発生しないんだろう」という課題を解決するための考えを持ったら、自然とパッションが生まれると思うんですよね。
--なるほど。
鹿野氏:そういう意味で、困っている人がいるからやっている、という気持ちです。
ソーシャルベンチャーとしてのウェルモ
鹿野氏:介護業界は、そもそもの構造的問題を抱えています。
介護難民が発生することも、人手不足で離職者が増えてしまうことも、老老介護・認認介護が発生してしまうことも、誰かが悪いわけではなく、全ては構造上の課題なんですよ。だいたい社会課題って構造的課題から生まれていて、インセンティブ設計が働かない仕組みになってしまっています。
このまま見て見ぬふりをすると、数年後にとんでもないことになる。
でもこういったセーフティーネットの分野って事業的な伸びを直近で期待できないので、現在の資本主義社会ではなかなか投資の対象にならない。
一方、行政の方ではエビデンスがないと、なかなかドラスティックな構造改革には着手できない。
であれば、民間が官の仕事の一部を代わりにやって、法律を先行するような先進モデルを作っていき、エビデンスを作っていくことで、国が制度化して構造上の課題解決をして困る人を減らしていく、というアプローチが必要だと考えました。
--非常に中長期的な視点でのアプローチですね。
鹿野氏:一朝一夕には構造改革は不可能ですからね。
弊社はソーシャルベンチャー企業です。
ベンチャーだけですと利益追及型のモデルになり、一方ソーシャルビジネスだと資本が足りないので事業拡大が難しく、インフラとしてスケールさせることができない。
弊社はそのハイブリットとして、資本金としてしっかりとエクイティを入れつつ、社会的構造課題を解決するためにしっかりとインフラ化していく、というアプローチをとります。
ですので中長期的な利益は目指しつつも、本質的な事業目標である社会課題の解決を最優先として展開するので、短期利益は追求しないです。
--先日、4.5億円の第三者割当増資をされていらっしゃいましたが、上記のようなビジョンにご賛同いただけるVCの方って、正直あまり多くないと思うんです。どのようなご縁だったのですか?
鹿野氏:本当にラッキーだったとしか言えないですね。
本質的に世の中に必要な事業を進めて行くと、いずれどなたか賛同いただける方にめぐり合うことができる、と信じて活動しています。
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