LoveTech Media編集部コメント
発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)、通称PNHと呼ばれる国の指定難病がある。
後天性に血液細胞の遺伝子に異常がおこり、その結果、赤血球が自分の血液中の補体の攻撃を受けて破壊される(溶血)極めて稀な血液疾患であり、人種・性別・年齢にかかわらず発症する可能性がある病気だ。
PNH患者は溶血により、疲労感・嚥下困難・息切れ・腹痛・勃起不全・褐色尿・貧血など様々な症状を発症し、慢性的な溶血による最も深刻な結果は、全身の血管に生じる血栓症で、これにより重要な臓器が損傷され、早期死亡をもたらすこともある。
医師がPNHを的確に判断するためには、臨床検査値の変化はもちろん、日常の症状の変化を知ることも重要だが、毎日の患者の状況を正確に把握するのは非常に難しい。
そこで開発されたのが、PNH自己管理支援アプリ「PNH記録ノート」である。
日々の症状や臨床検査値を記録して体調変化をメモできるカレンダー機能や、それら情報をグラフでか確認できるグラフ機能、PNHの症状や診断方法・治療に関する情報・医療費助成制度に関する情報などの各種PNH情報提供機能、緊急時に備えるために受信可能な医療機関を登録できる機能など、PNH患者向けの初めてのアプリである。
主治医とのコミュニケーションに寄り添う形で設計されたものであり、適切な治療を受ける一助になることは間違いないだろう。
この「PNH記録ノート」が、一人でも多くのPNH患者に届いて欲しい。
以下、リリース内容となります。
リリース概要
アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都渋谷区、社長:伊藤 嘉規、以下「アレクシオンファーマ」)はこのたび、国の指定難病の1つである発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria、以下「PNH」)の日々の症状や臨床検査値などを、患者さん自身が簡単に記録することができるPNH自己管理支援アプリ「PNH記録ノート」の提供を開始したことをお知らせいたします。
「PNH記録ノート」は、大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 講師の西村 純一先生の監修のもと制作された、PNH患者さん向けの初めてのアプリです。
PNHは後天性に血液細胞の遺伝子に異常がおこり、その結果、赤血球が自分の血液中の補体の攻撃を受けて破壊される(溶血)極めて稀な血液疾患です(参考文献1)。PNHは、人種、性別、年齢にかかわらず発症する可能性があり、診断時の平均年齢は30代初めです(参考文献2)。PNHの患者さんは溶血により、疲労感、嚥下困難、息切れ、腹痛、勃起不全、褐色尿、貧血など、様々な症状を発症します(参考文献1,3,4,5,6,7,8)。慢性的な溶血がもたらす最も深刻な結果は、全身の血管に生じる血栓症で、これにより重要な臓器が損傷され、早期死亡をもたらすこともあります(参考文献9)。
様々な症状を引き起こすPNHは、特徴的な症状や臨床検査値の異常が必ずしも常に明確に現れるわけではありません。それゆえ、医師が病気の状態を的確に判断し適切な治療を行うためには、臨床検査値の変化はもちろんのこと、日常の症状の変化を知ることも重要です。しかし、患者さんが受診時に、日々の症状やその変化を主治医に正しく伝えるのは、容易ではないのが現状です。
「PNH記録ノート」を活用することで、患者さんはご自身の日々の症状の変化を簡単に記録することができ、それをグラフ化することで症状の変化を一目で把握することができます。そして受診時に、患者さんが症状の説明を十分にできなくても、このアプリに記録した日々の症状を医師に提示することで、医師は患者さんの病態を的確に判断することができ、迅速かつ適切な対応につなげることができます。
「PNH記録ノート」を監修いただいた大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 講師の西村 純一先生は、「患者さんが受診の際に全ての症状について主治医に伝えるのは、非常に難しいと思います。受診時に、このアプリに記録した日々の症状を主治医に提示することで、主治医は迅速に、そして的確に患者さんの日々の症状を把握することができ、適切な対応につなげることができます。私が担当する患者さんにこのアプリを活用していただくことで、受診の際に患者さんとのより良いコミュニケーションに役立つのではないかと思います」と述べています。
PNHの患者団体であるPNH倶楽部 代表の高山 知男さんは、「PNHとのつきあいが長くなると、PNHの症状に慣れてしまって、症状のある時でも“普通”だと感じてしまうことがあります。このアプリを使うと、日々の症状が簡単に記録でき、今の症状が以前に比べて悪化しているのか、それとも改善しているのかを自分でも自覚することができます。また、主治医にも自分の症状の変化を正確に伝えることができ、適切な治療を受ける一助になると思います」と述べています。
アレクシオンファーマは、PNH患者さん、そして先生が「PNH記録ノート」を活用することで、患者さんと先生のコミュニケーションが円滑になり、先生による的確な症状の把握、そして適切な治療につながることを期待しています。
「PNH記録ノート」の主な4つの機能
(1) カレンダー
カレンダー画面から、日々の症状や臨床検査値を記録しておくことができます。また、体調変化をメモしておくことや、受診予定日・時間を登録しておくことも可能です。受診予定日を登録すると、受診予定日の2日前になったらアプリ上でお知らせします。
(2) グラフ
カレンダー画面で記録しておいた情報をグラフで確認することができます。体調の変化を一目で把握できて便利です。
(3) PNHの治療
ご自身の疾患のことやその治療について、正しく理解を深めて頂くために、PNHの症状や診断方法に関する情報、治療中または治療を開始する方には治療に関する情報を提供しています。さらに、難病患者さんの医療費助成制度に関する情報も提供しています。
(4) 担当医師情報
担当医師情報や、緊急時に備えるために受信可能な医療機関を登録しておくことができます。
「PNH記録ノート」の利用方法について
スマートフォンでApp Store(iPhoneユーザー)またはGoogle Play(Androidユーザー)から「PNH記録ノート」と検索するか、QRコードでインストールしてください。
PNH倶楽部について
PNH倶楽部は、PNHの患者さんや、そのご家族の支援のために、2011年10月にPNHの専門医を顧問に迎え、NPO法人として設立されました。現在は一般団体となり、医療講演会や患者さんの集いの開催、電話相談、News Letterの発行など、患者さんのQOL向上のために活動しています。
PNH倶楽部 ウェブサイト https://www.pnhclub.jp/
アレクシオンファーマ合同会社について
アレクシオンファーマ合同会社は、アレクシオン・ファーマシューティカルズの日本法人です。アレクシオンは、生活を変えるような革新的な治療薬を発見、開発、販売することで、希少疾患の患者さんとご家族に貢献することに注力するグローバルなバイオ製薬企業です。アレクシオンは、20年以上にわたる補体領域のリーダーとして、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんに対する治療薬として承認された2つの補体阻害薬、ならびに非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)および抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型重症筋無力症(gMG)の患者さんに対する治療薬として初めてかつ唯一承認された補体阻害薬を開発し、製造販売しています。また、この補体阻害薬は現在、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)に対して開発が進められています。アレクシオンはまた、低ホスファターゼ症(HPP)とライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)といった生命を脅かす超希少疾患の患者さんに対する2つの非常に革新的な酵素補充療法を有しています。更に、アレクシオンは現在、第二の補体阻害薬、ウィルソン病に対する銅結合剤、稀な免疫グロブリンG(IgG)介在性疾患に対する抗胎児性Fc受容体(FcRn)抗体などを中・後期の段階で開発を行っています。アレクシオンは、補体カスケードにおける新しい分子やターゲットの研究に重点的に取り組んでおり、血液、腎臓、神経系、および代謝性疾患といったコアとなる治療領域の開発にも重点をおいています。アレクシオンは、7年連続でフォーブス誌の「世界で最も革新的な企業」にリストアップされています。アレクシオンはマサチューセッツ州ボストンを拠点とし、世界中にオフィスを有し、50ヵ国以上の患者さんに貢献しています。本プレスリリースとアレクシオンファーマ合同会社に関する詳細については、 www.alexionpharma.jp をご覧ください。
参考文献:
1. Brodsky RA. Blood Rev. 2008;22:65-74.
2. Shammo JM, Mitchell RL, Ogborn K et al. Blood. 2015;126:3264.
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6. Dacie JV, Lewis SM. Ser Haemat . 1972;5:3-23.
7. Nishimura J, Kanakura Y, Ware RE, et al. Medicine (Baltimore) 2004 May;83(3):193-207.
8. Parker C, Omine M, Richards S, et al. Blood. 2005 Dec;106(12):3699-3709.
9. Hillmen P, Muus P, Duhrsen U, et al. Blood. 2007 Dec;110(12):4123-8.