獣医師による健康検査と処置を譲渡前に100%実施、保護犬・保護猫譲渡サイト『anifare 』開始

家族/仕事

記事の要点

・ペットペアレント(飼い主)になろうとする人が安心して迎えてもらえるように、「獣医師による事前健康検査と処置」を行い、安心の譲渡をサポートしてくれる獣医師賛同の里親募集サイト「anifare (アニフェア)」がリリース。

 

・具体的には、最寄りのサポート動物病院において、ワクチン接種やマイクロチップ装着、視診・聴診・触診による基本的な健康検査、検便・血液検査等を通して、“正確な”健康情報を共有してくれる。

 

・保護犬・保護猫の他に「ブリーダー引退犬や引退猫」のシニア犬、シニア猫の譲渡推進も図っていくとしており、譲渡年齢の制限を緩和して60代以上の里親希望者にも譲渡していくという、“シニア for シニア”モデルも展開していく。

LoveTechポイント

動物病院と連携して譲渡サポートを行い、またブリーダー等の譲渡元のリテラシー底上げも狙う「共創型」のモデルを本格的に構築しようとしている点が、LoveTechだと感じます。

草の根活動ももちろん大事ですが、ステークホルダーを増やして展開することが、今のペット業界には必要なことなのかもしれません。

編集部コメント

我が国ではペットの家族化が進む一方、大量繁殖や飼育放棄によって年間4.3万匹もの犬猫が殺処分されている。

 

これは単純計算で1日におよそ118匹が殺処分されていることを意味する。

※出典元:環境省自然環境局「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」平成30年12月データ

 

この問題を解決するには、業界の健全化や飼い方の適正化が重要であるとともに、飼い主側の迎え方そのものを見直すことも必要であり、そのような背景から、ペットショップでの購入ではなく「保護犬・保護猫」の引き取り活動が注目されている。

 

一方、保護犬・保護猫を受け入れる際にも、まだ様々な課題が存在する。

 

その一例として、例えば、犬のワクチン接種状況について、エビデンスのある形での引き渡しが難しい点が挙げられる。

 

91日齢以上の犬に接種義務がある狂犬病ワクチンのほか、生後数週間後より任意で接種が可能になるものまで、人間と同様に犬にも様々なワクチンが存在するが、「何をいつ接種したのか」が不明瞭であるケースも多いという。

 

また健康状態についても、引き取った後に問題が発覚するケースもあるようで、なかなか双方Win-Winな形での受け入ればかりではない、というのが現状と言えるだろう。

 

そんな状況の中、本日より新たにスタートしたのが、獣医師賛同の里親募集サイト「anifare (アニフェア)」である。

 

ペットペアレント(飼い主)になろうとする人が安心して迎えてもらえるように、「獣医師による事前健康検査と処置」を行い、安心の譲渡をサポートしてくれるマッチングサービスだ。

 

具体的には、最寄りのサポート動物病院において、ワクチン接種やマイクロチップ装着、視診・聴診・触診による基本的な健康検査、検便・血液検査等を通して、“正確な”健康情報を共有してくれるというのだ。

 

サポート動物病院は、現時点(2019.12.2時点)で関東エリアを中心に約150 病院を超えており、これからますます連携先を増やしていくという。

 

また、保護犬・保護猫の他に「ブリーダー引退犬や引退猫」のシニア犬、シニア猫の譲渡推進も図っていくとしており、譲渡年齢の制限を緩和して60代以上の里親希望者にも譲渡していくという、“シニア for シニア”モデルを展開していくという。

 

これにより、犬・猫の環境改善やセカンドライフのみならず、人の幸せも同時にサポートするという、いわば「双方ウェルビーイング型モデル」ともいうべき家族の形を創出していくとのことだ。

 

そもそも、「anifare」 とはアニマルウェルフェア(animal welfare)、つまりは「動物福祉」を意味しており、動物の主観的経験(痛み、苦しみ、喜びなど)、生物的機能性(健康状態、ストレスなど)、本来の主観的経験 (行動上のニーズなど)の観点から、「動物にとってなにが幸せかというニーズを考える」ことを示しているという。

 

世の中には様々な保護犬・保護猫譲渡サイトが存在するが、動物病院と連携して譲渡サポートを行い、またブリーダーのリテラシー底上げも狙う「共創型」のモデルを本格的に構築しようとしているところは、おそらく国内で初めてなのではないだろうか。

 

保護犬、保護猫、ブリーダー引退犬、ブリーダー引退猫など、様々な環境にいる犬猫を ‟foster dog/foster cat” として関心の輪を広げ、里親を募集し、一頭でも多くの子に家族を作っていくというLoveTechなサービスとして、引き続き動向を注視して参りたい。

 

ペットテック領域も、既存のプレイヤー(ペットショップやブリーダー)を駆逐するのではなく、「共創して成長していく」という観点の取り組みが増えてきている印象であり、面白い領域だと感じる。

 

以下、リリース内容となります。

LoveTechMedia編集部

「”愛”に寄りテクノロジー」という切り口で、社会課題を中心に、人々をエンパワメントするようなサービスやプロダクトを発信しています。

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