記事の要点
・音 × AIのスペシャリスト集団・Hmcomm株式会社が、動物用医薬品の開発等を手がけるDSファーマアニマルヘルス株式会社と共同で、犬の心雑音検知についての実証実験を開始。
・飼い主に対する説明を、異音検知プラットフォーム「FAST-D」等のシステム利用によって可視化し、高度な獣医療に対して飼主の理解をもって実施できるソリューション提供を検証する。
・ペット(犬+猫)の飼育頭数は若干数の逓増トレンドだが、それに対して動物病院の市場規模は明らかな上昇トレンドにある。これによって、ペット1頭あたりにおける獣医療費用の高額化が進むことで、獣医療のより詳細な説明が求められていることが背景にある。
LoveTechポイント
動物病院にとってのリスクヘッジと診断技術の向上に繋がるのみならず、飼い主にとってもより一層の安心に繋がることが期待される点で、LoveTechな世界に向けた実証実験だと感じます。
AI関連技術の進化が、様々な業種業態に浸透してきていることを実感できますね。
編集部コメント
音 × AIのスペシャリスト集団・Hmcomm株式会社が、動物用医薬品の開発等を手がけるDSファーマアニマルヘルス株式会社と共同で、犬の「心雑音検知」についての実証実験を開始したことを発表した。
Hmcommとは、日本最大級の公的研究機関である産総研(国立研究開発法人産業技術総合研究所)発ITベンチャー。独自の音声処理技術を用いた要素技術の研究・開発、およびソリューション・サービスを提供しており、ディープラーニングを用いた「音声認識処理、自然言語解析処理を用いたプラットフォーム(The Voice)」と「異音検知解析処理を用いたプラットフォーム(FAST-D)」の2製品を、主な提供サービスとして展開している。
今回の実証実験で使用するのは、後者のFAST-D。自動車等のモーター駆動音といった車内外音や、機械設備に関する音、私たち一般市民の家庭内異常音から家畜の鳴き声まで、音という横軸で幅広く「異音」を検知するソリューションである。
画像出典:Hmcommホームページ
背景にあるのは、近年のペット市場における獣医療費用の高額化だ。
一般社団法人ペットフード協会が2019年に発表した「令和元年 全国犬猫飼育実態調査」によると、ペット(犬+猫)の飼育頭数は若干数の逓増トレンドだが、それに対して動物病院の市場規模は明らかな上昇トレンドにある(※)。特に犬に関しては飼育頭数が年々減少しているので、1頭あたりにおける獣医療費用が高くなっていることになる。
画像出典:一般社団法人ペットフード協会「令和元年 全国犬猫飼育実態調査」
※農林水産省が毎年発表している飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)と 統計局が算出している「(品目分類)第10表 年間収入五分位階級別1世帯当たり品目別支出金額及び購入頻度(総世帯)」から、動物病院経営.com(船井総合研究所運営)が独自に算出・グラフ化
つまり、獣医療における、より詳細な説明が求められているというわけだ。
今回の共同実証実験では、飼い主に対する説明をFAST-D等のシステム利用によって可視化し、高度な獣医療に対して飼主の理解をもって実施できるソリューション提供を行っていく。具体的には、動物病院サイドで取得された犬の心音データを取得し、FAST-Dプラットフォームを通じて心雑音データを抽出・分析。そこから想定される疾病の分析結果を、動物病院サイドに戻すというフローが想定されている。
音専門のAI企業として、大量の音データが集まるからこそ、異音検知の精度も向上する事になるわけで、動物病院にとってのリスクヘッジと診断技術の向上、および飼い主にとってのより一層の安心に繋がることが期待される。
以下、リリース内容となります。