記事の要点
・株式会社オリィ研究所が、育児介護、難病や障害など様々な理由で外出困難となっている人が一歩を踏み出し、企業や自治体とともに新しい働き方を開拓するプロジェクト「AVATAR GUILD」(アバターギルド)を開始。
・すでに過去1年間で、神奈川県庁、日本電信電話株式会社(NTT)、日本マイクロソフト株式会社、共和メディカル株式会社、三菱地所ホーム株式会社などにて、難病や重度の障害などで外出困難な方々を紹介し、就労を開始している状況。
・採用検討企業およびパイロットとして応募希望者は、AVATAR GUILD公式ページより応募のうえエントリーする。
LoveTechポイント
誰もが自分の意思で社会参加できる世の中に向け、AVATAR GUILDがそのためのプラットフォームとして機能することを期待します。
単なる効率性や生産性ではなく、「何かできる人を増やす」「人が何かをしたくなる」ためにテクノロジーを活用している点が、LoveTechだと感じます。
編集部コメント
インターネットが発達し、他者とほぼノーコストでコミュニケートできる環境が整備されている現代社会において、「孤独」という病がむしろ拡大の一途を辿っているように感じるのは、私だけではないだろう。
特にコロナ禍を経て、孤独感が増幅した方も多いはず。
「Zoomでいつでも画面越しで仕事ができるからこそ、リアルな対面の有り難さを知った」
そんな声がSNS等を中心に多く見受けられた通り、人々は本来的にリアルなコミュニケーションを通じた「社会的接点」「社会的関係」を求めていることは明白である。だからこそリモートワークによってリアルな人との対話が激減している現状は、働き方改革の理想的な流れであると同時に、注意深く行設計をしないと、孤独に苛まれる人を激増させてしまうリスクも孕んでいると言える。
そんな現代病とも言える「孤独」を、テクノロジーを活用して解消することをミッションに掲げているのが、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」等を開発する株式会社オリィ研究所である。
全身20cmのOriHimeは、生活や仕事の環境、入院や身体障害などによる「移動の制約」を克服し 、「その場にいる」ような コミュニケーションを実現する遠隔操作型コミュニケーションロボット。カメラ・マイク・スピーカーが搭載されているので、インターネットを通して操作でき、学校や会社、あるいは離れた実家など「移動の制約がなければ行きたい場所」にOriHimeを置くことで、周囲を見回したり、聞こえてくる会話にリアクションをするなど、あたかも「その人がその場にいる」ようなコミュニケーションが可能となっており、最近ではあらゆる方のテレワークツールとして、多くの企業への導入も進んでいる。
OriHime
またオリィ研究所はOriHime以外にも、テレワークにおける身体的社会参加を可能にする分身ロボット「OriHime-D」や、難病や身体障害があっても目や身体の一部の動きだけで意思伝達からPCおよびOriHimeの操作を行える「OriHime eye-swich」など、例え身動きができなくとも「何かできる人を増やす」「人が何かをしたくなる」ためのテクノロジーをリーン式に開発している。
OriHime-D
当メディアでも以前取材した「分身ロボットカフェ」は、それら開発物をしっかりと社会実装させるための実証実験として行われているものだ。
[clink url=”https://lovetech-media.com/eventreport/orihime20200123dawnbeta/”]
これまで4度実施した分身ロボットカフェの実験では、病気や障害、住んでいる場所などにより外出が困難な方が分身ロボットの”パイロット”となり、カフェスタッフとして働く実証実験を行い、接客、配膳、販売員、フロアマネージャー、司会、案内、シフト管理など様々な役割を担当、アバターワークの可能性を模索してきた。
その中で、カフェの店員として働いているパイロットの姿を見た障害者雇用や在宅ワーカーの雇用を促進したい企業から声があがり、そのうちいくつかの自治体・会社で雇用が実現。
このようなニーズの高まりを受けて、オリィ研究所は新たに、各ステークホルダーと共に新しい働き方を開拓するプロジェクト「AVATAR GUILD」(アバターギルド)をスタートさせた。
すでに過去1年間で、神奈川県庁、日本電信電話株式会社(NTT)、日本マイクロソフト株式会社、共和メディカル株式会社、三菱地所ホーム株式会社などにて、難病や重度の障害などで外出困難な方々を紹介し、就労を開始している状況だ。
例えば日本マイクロソフトにおいては、2名がIT関連ニュースの翻訳や、正式リリース前の製品の検証などを行っており、技術的なタスクを難なくこなしているという。
日本マイクロソフト株式会社での分身ロボット就労事例(画像:日本マイクロソフト提供)
オリィ研究所 代表の吉藤氏は、今回のAVATAR GUILD指導に伴い、以下の通りコメントしている。
「これまで在宅にいる人はよほど専門知識や技能がない限り、新たな仕事を探し就職する事は困難だった。私達の実施してきた障害者雇用や分身ロボットカフェ実証研究で蓄積した知見、ノウハウ、データを就労を希望する外出困難者と採用を求める企業に提供することで、高い就労意欲があっても外出が困難で働くことができなかったより多くの人が、自分の意思で社会参加でき、社会にとっても人的リソースの問題解決に寄与できる世の中を目指す。」
誰もが自分の意思で社会参加できる世の中に向けた、分身ロボットを用いた新しい働き方開拓に興味を持った企業担当者、およびパイロットとしての就労を希望される方は、今回発表されたAVATAR GUILDに申し込んでみてはいかがでしょう。
■サービス利用方法
採用検討企業:上記URLより資料請求・お問い合わせ
応募希望者:上記URLよりアクセス、パイロットエントリー登録
■概要
企業や自治体とともに、難病や重度の障害など様々な理由で外出困難な方々の新しい働き方を開拓するプロジェクト
以下、リリース内容となります。