記事の要点
・株式会社AGE technologiesが、シリーズAラウンドで、株式会社DGベンチャーズ、株式会社カカクコムを引受先とする第三者割当増資を実施し、2億円の資金調達を実施した。
・「そうぞくドットコム」は、煩雑な相続手続きの課題を解決するWebプラットフォームで、ネットで戸籍集めが完結、Webで申請書の作成することができ、全国の不動産で利用が可能。
・出資に伴い、DGベンチャーズ取締役の前川氏が、同社の社外取締役に就任。資金調達を機に、更なるマーケティングの拡大、新規プロダクト開発への先行投資を強化していく。
LoveTechポイント
超高齢社会への突入で、世界に先駆けて課題先進国になった日本だからこそ、ペインを感じているユーザーが世界のどこよりも多い可能性が高く、このAgeTech領域の可能性は非常に高いと言えるでしょう。
特に相続のようなライフエンディング分野はテクノロジーの介入余地が大きいといえ、同社のような事業領域は大きく成長するのではないかと感じます。
編集部コメント
相続手続きのDXに取り組むAGE technologiesが、シリーズAラウンドでDGベンチャーズ及びカカクコムより、総額2億円の資金調達を実施した。
AGE technologiesは、超高齢社会へと突入していくなかで起こる課題を解決するためテクノロジー、AgeTech(エイジテック)を最大市場と捉え、「高齢社会にテクノロジー革命を起こす」ことをミッションとしているスタートアップだ。
第一歩として、国内における課題が最も強い「相続」における課題解決を目指し、煩雑な相続手続きの課題を解決するWebプラットフォーム「そうぞくドットコム」を提供している。
人が亡くなった時に発生する相続手続きは、細かいものまで含めると50種類以上あると言われ、各種手続では、証明書の取得、申請書の作成などの煩雑な作業が必要となる。加えて、役所や銀行を含めた対応機関は窓口業務が基本で、非効率な手続きとなっている。
そこで同社は、これらの課題解決のため、まず不動産の相続手続きに特化した「そうぞくドットコム不動産」をリリースしている。
本サービスの特徴は、まず、必要書類を全て代行で取得してくれること。
働いていると、窓口が開いている時間に銀行や役所へ行くのはなかなか難しいが、そうぞくドットコムで委任状を提出すれば、各市区町村から、戸籍や住民票、不動産の固定資産評価証明書などの必要書類をすべて代行取得してくれる。
また、申請書類一式はWeb上で自動作成することができ、「誰が相続するのか」など簡単な質問に答えるだけで申請に必要な書類が自動生成され、申請書は印刷・製本し、自宅へ届けられる。
さらに、完了書類の受け取りに必要な返信用封筒や発送用レターパックなどを準備から全国の法務局への郵送も代行してくれる。
全国の不動産に対応しているため、「実家から離れた遠方に住んでいる方」などが手続きをする際に、現地まで行かなくても手続きが完了するという点が大きなメリットとなっており、実際に利用ユーザーの約半数は、遠方不動産の名義変更手続きで利用しているという。
本サービスの2020年正式リリース以降、1年で登記された不動産の数は5,000件を超えている。急成長を遂げている一方で、有者不明の土地の問題は年々深刻化しており、その面積は日本全体の2割にのぼると言われているわけだ。
また、2021年4月の国会では、ついに「相続登記を義務化する法案」が参院本会議で可決・成立され、今後手続きの義務化に伴う需要拡大が予想できる。そんな中、今回の資金調達を実施したことで、同社は更なるマーケティングの拡大と、新規プロダクト開発への先行投資を強化を目指すとしている。
具体的には、デジタルガレージグループが持つ顧客基盤を軸に、ライフエンディング領域における事業者との連携や、銀行や自治体など手続きの対応機関へ向けたサービスの提供、また共同事業の開発推進等を通じ、既存事業領域の拡充、さらには周辺領域への事業拡大を加速していくとのこと。
加えて、今回の出資に伴い、更なる経営力の強化を目的として、DGベンチャーズ取締役の前川雅彦氏が、同社の社外取締役に就任している。
超高齢社会への突入で、世界に先駆けて課題先進国になった日本だからこそ、このAgeTech領域の可能性は非常に高いと感じる。なぜならば、ペインを感じているユーザーが世界のどこよりも多い可能性が高いからだ。