記事の要点
・ラーメン凪と「コオロギラーメン」を共同開発した篠原祐太氏が、2020年春、日本橋馬喰町に開業するレストラン「ANTCICADA(アントシカダ)」の開業等に向けた支援のため、クラウドファンディングプロジェクトをスタート。
・メニューとしては、上述「コオロギラーメン」と、他の生き物たちの魅力も堪能したいという方に向けた「コース料理」を提供予定。食材としての昆虫の魅力を引き出すと共に、野草やジビエ、悪者扱いされる外来生物など、日の目を浴びていない、魅力溢れる生き物たちにも目を向け、驚きや発見に満ちた地球からの贈り物を届けるという。
・「コオロギビール」や「コオロギドレッシング」などの商品開発にも着手予定。
LoveTechポイント
昆虫食は「ゲテモノ食品」という固定概念を吹き飛ばし、食材として魅力的なものだ、というメッセージを強烈に発信する篠原祐太氏は、まさに全ての生き物と地球への愛に寄り添った、LoveTechな人物だと感じます。
LoveTech Media編集部でもANTCICADA開業の暁には、コオロギラーメンとコース料理を食べにお店へ伺いたいと思います。
編集部コメント
今、昆虫食がかつてないほどに注目されている。
2018年、熊本市中央区に「世界初の昆虫食自動販売機」が設置されたことを皮切りに、昆虫食アイドルや昆虫食専門ECサイト、昆虫食専門Webサイトなど、専門に取り扱うヒトやプラットフォームサービスが次々と立ち上がっている。
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また上述のようなtoC向けサービスのみならず、当メディアで何度も取材してきた昆虫テクノロジー企業・ムスカなど、昆虫を「バイオテクノロジー」として活かして toB向けサービス開発を進める流れも加速してきている。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/20190102musca/”]
古くから人々に愛されてきた「イナゴの佃煮」や「蜂の子」、バラエティ番組の罰ゲームに登場する「タガメの素焼き」と言った、どこか牧歌的でステレオタイプなイメージの昆虫食から間違いなく拡張が進んでおり、一過性のブーム以上の何かを感じさせるトレンドであることは間違いないだろう。
一方で、ほとんどの人にとっては未だに「ゲテモノ食品」の域を出ないのが本音なのも確か。そもそも「見た目からしてNG!」という方が多いにも関わらず、あえて素焼きを中心とするグロテスクな姿を露出させるメディアが後を絶たず、結果としてアンチも増えてしまっている印象だ。
そんな、メディアを含めた“残念な”世の中の姿勢に一石を投じるべく、奮闘する人物がいる。
「地球少年」という、珍しい肩書きで活動される篠原祐太(しのはら ゆうた)氏だ。
篠原氏は小さい頃から虫を食べることに抵抗がなく、長年かけて「食」としての虫の価値を研究。虫料理の創作・販売から、ワークショップ、講演、執筆と幅広く活動を続けている人物である。
2015年、ラーメン凪との共同開発で生み出された「コオロギラーメン」は、2種類の国産コオロギで出汁をとるという世界初の試みと、想定をはるかに超える美味しさが話題となり、以来、赤坂サカスや慶應大学食堂、日比谷音楽祭、FOODEX JAPAN など、全国各地のイベントで即完売が続いている。
最近では国を超えて、フィンランドやエストニアなど北欧諸国でも人気を博しているという。
そんな篠原氏が、この度、新たな挑戦を始めるという。
レストラン「ANTCICADA(アントシカダ)」の開業と、新たなる虫商品の開発だ。
このために、令和元年11月20日より、CAMPFIREにてクラウドファンディングプロジェクト「虫たちの魅力を世界に届けたい!地球を味わうレストラン『ANTCICADA』開業。」をスタートさせている。
開始3日で既に200万円以上の支援金が集まっていた(11月22日21:40現在のプロジェクト画面)
「ANTCICADA」とは、直訳すると「アリ(ANT)とセミ(CICADA)」だ。
この由来について、同氏はクラウドファンディングページにて次のように述べている。
実は、イソップ寓話の「アリとキリギリス」の元ネタは「アリとセミ」でした。生き物はそれぞれ違うリズムで生きているのだから、アリとセミ、どっちが良い悪いではなく、どちらの美しさも認めあえる社会であってほしい。お店では、そんなフラットな目線で、食材やお客様に向き合っていきたい。そんな想いを込めて名前をつけました。
食材としての昆虫の魅力を引き出すと共に、野草やジビエ、悪者扱いされる外来生物など、日の目を浴びていない、魅力溢れる生き物たちにも目を向け、驚きや発見に満ちた地球からの贈り物を届けてくれるという。
具体的には、上述の「コオロギラーメン」と、“旬”の虫たちの魅力を活かした「コース料理」がメニューとして用意される予定だ。
特に後者について、「ゲテモノ」という虫のイメージを一変させるような、おしゃれで美味しく、上品なコース料理を追求していくという。
2020年春、日本橋馬喰町での開業を予定しているということで、日本の道の起点となっている日本橋で、令和時代の未来に向けた新たな一歩を踏み出されるわけだ。
また、新たなる商品開発についても、これまでタガメを使った蒸留酒「タガメジン」や、大豆を用いずコオロギから作り上げた「コオロギ醤油」など、様々な商品を開発してきたノウハウをベースに、現在開発中の「コオロギビール」など、昆虫を素材として扱った調味料やお酒などの商品を仕掛けていくという。
特に今回のクラウドファンディングでは、コクハク株式会社と共同開発した昆虫ドレッシングブランド「TWO THIRDS」が支援へのリターン品の一つとして設定され、製造が予定されている。
具体的には、フタホシコオロギの奥ゆきのある香ばしさと醤油の旨みがマッチした和風ドレッシングと、ヨーロッパイエコオロギのまったりした旨味を引き立たせたフレンチドレッシングの、計2種類をゲットできるチャンスだ。
「昆虫食への固定概念を払拭し、その魅力を伝える。」
そんな、ポジティブな昆虫食のあり方を提案する、まさにLoveTechなプロジェクトとして、当メディアも微力ながら応援したいと思っている。
昆虫食の未来をいち早く体験されたい方は、ぜひ今回のクラウドファンディングプロジェクトを支援されてみてはいかがでしょう。
※スライド投影写真(特性コオロギラーメン、コース料理、商品づくり、コオロギドレッシングの計4枚)は、11月20日に開催されたAgriTech & FoodTechカンファレンス「AG/SUM」内セッション「未来の食、昆虫活用の可能性」にて投影されたものを撮影
以下、クラウドファンディングページとなります。