記事の要点
・小田急電鉄株式会社が、2019年12月10日より、シェアリングエコノミーに関わるサービスを軸とした、地域密着型サービスプラットフォーム「ONE(オーネ)」の運用を開始。
・傘シェアリングサービスの「アイカサ」、ベビーシッターマッチングサービスの「KIDSNA キズナシッター」、出張料理サービス「シェアダイン」、子供向け習い事の月額定額サービス「スクルー」が4パートナーサービス提供の他、全15社のサービスがお得に利用できるクーポンも会員向けに発行。
・地域密着型のデジタル基盤(プラットフォーム)として、小田急沿線以外の地域でも活用できるような、拡張性を持ったシステム設計がなされている。
LoveTechポイント
鉄道というリアルワールドにおけるインフラ企業が、沿線ユーザーという特定コミュニティを想定したデジタル基盤を整備することで、各ライフイベントにおけるインクルージョンを加速させることができると考えており、その点が非常にLoveTechだと感じます。
そのような背景から編集部としては、「自治体」サービスとの連携にも大いに期待したいと考えています。
編集部コメント
今年11月に構想発表された、小田急電鉄株式会社による地域密着型の新サービスプラットフォーム『ONE(オーネ)』が、いよいよ12月10日に運用開始した。
ONE(以下、オーネ)とは “Open Next Experience”の頭文字から取ったもの。
小田急(ODAKYU)だからこその頭文字「O」なのかと思ったが、そうではないらしい(後述)。
こちらは1つのIDで、小田急グループのサービスをはじめ、提携企業のシェアリングサービスといった多彩なサービスを利用できるという、特に小田急線沿線住民にとっては嬉しいWebプラットフォームとなっている。
会員登録し、ONE IDを取得することで、以下のメリットを享受できるという。
- 安心して暮らしていけるための各種サービスを付帯
- ONE IDとの連携で、利用額に応じた小田急ポイントを付与
- シェアリングサービスやサブスクサービスなど、新しいサービスをお得に利用できるクーポンを発行
運用開始時点では、まずは「小田急ポイントと連動できる4シェアリングサービス」と「15サービスの会員限定クーポン」が提供される。
前者については、傘シェアリングサービスの「アイカサ」、ベビーシッターマッチングサービスの「KIDSNA キズナシッター」、出張料理サービス「シェアダイン」、子供向け習い事の月額定額サービス「スクルー」が、それぞれお得に利用可能となっている。
“お得に”とはどういうことかというと、小田急ポイントカードを持っている場合、ONE IDと連携することで、これらサービスの利用に応じた「小田急ポイント」が加算されるという。
(ONE IDで貯めたポイントを利用するには、小田急ポイントカードに記載された「小田急お客さま番号」の登録と、小田急ポイントカード 公式サイトで「小田急ポイント専用カード会員登録」が必要になる)
またそれに加えて後者のクーポンについても、全15サービスについて会員限定のものが発行されており、それぞれをお得に利用することができる。
サービス名とそれぞれのクーポン内容は以下一覧の通り。
オーネ上でクーポンコードが発行されているものもあれば、該当サービス上で個別に申し込みをするものもあり、個別の詳細は会員メニューページより確認することができる。
今回のサービスリリースに併せて、小田急電鉄でONEプロジェクトを担当されている和田正輝(わだ まさき)氏にお話を伺った。
小田急電鉄株式会社 経営戦略部 ICTプラットフォームPJ ビジネスプランニング担当 和田正輝氏(写真:小田急電鉄よりご提供)
「今回リリースしたオーネでは、基本的には1業種1社のパートナー企業様と、深く、リアルなイベントなども共催しながら、中長期的なリレーションを前提に取り組んでまいりたいと思っています。」
例えば、当メディアでも以前取材した「KIDSNA キズナシッター」は、数あるベビーシッターサービスの中でも「保育士・幼稚園教諭・看護師の有資格者100%で提供されるシッターサービス」という点が大きな強みとなって、今回のパートナーサービス選定に繋がったという。
[clink url=”https://lovetech-media.com/interview/kidsnasitter20190130/”]
「知らない人へ我が子を預けることに対し、未だ多くの親御さん達が不安を感じられているのが現状だと思っています。
有資格者100%というサービス設計をされているキズナシッターさんを小田急グループが紹介することで、『なんとなく存在する不安感』を取り除いていけたらと考えています。
もちろん、キズナシッターさんに限らず、他サービスも同様です。」
小田急電鉄では中期経営戦略にて、『未来フィールド』という「未来のありたい姿」の領域設定をしており、以下図の通り、「お客さまや社会にどのような価値を生み出していきたいのか」を表した4つの葉っぱと、「そのために自らがどのような組織でありたいか」を示す1本の幹が描かれている。
出典元:https://www.odakyu.jp/ir/financial/explain/o5oaa1000001nfpi-att/1108.pdf
「今後、オーネはどこを目指されるのか?」と質問したところ、最終的には上図の「土」部分を目指していくという。
「初めは連携パートナーの性質上、【くらし x 楽しさ】だったり【まちづくり x 愛着】といった各「葉」の領域を拡充して参りますが、それが「幹」となり、最終的には全体を支えるデジタル基盤(プラットフォーム)としての「土」になっていくことを想定しています。
鉄道でいうところの「線路」というわけです。」
また、オーネは沿線地域のみのプラットフォームだけではなく、他地域への“展開拡張性”も視野に入れて、システム設計しているという。
「1IDで様々なサービスを地域密着型で提供する。
このような世界観を実現したい!と考える他事業者さまや公共団体さまが、この仕組みをそのまま利用できるように、オーネは設計されています。
なので、ネーミングも「Open Next Experience」と、あえて“小田急”のネーミングを入れていません。」
こちらのオーネ、現在運用開始を記念して、各種キャンペーンが行われている。
中でも強烈にお得なのが、ONE会員登録すると2020年12月31日まで「小児科オンライン」および「産婦人科オンライン」の利用が無料になるというもの。
病院に行かなくても小児科医・産婦人科医・助産師に気軽にオンライン相談できるプラットフォームであり、妊婦さんや子育て中のママさん・パパさんには非常に有難い特典となっている。
他にも以下の特典が条件に応じて付与されるとのこと。
- 小田急ポイントを200Pプレゼントキャンペーン
2020年3月31日までにONEに会員登録し、小田急ポイントカードとの連携手続きをした人を対象に、小田急ポイント200Pをプレゼント。 - 「アイカサ」サービスが最大3ヶ月無料に
ONEに会員登録し「アイカサ」の利用登録をすると、利用登録月の翌々月まで小田急線の各駅設置のアイカサが無料で使える。
「目指すは、沿線500万人の方々に使って頂くこと。
そのために、自社グループ資産や他パートナー企業との連携を加速させながら、安心・安全なサービスを丁寧に提供して参ります!」
鉄道会社らしく、オーネのロゴは運行形態に合わせたカラーバリエーションが用意されている(青:各駅停車、黄色:快速急行、黄緑:準急、赤:急行、といった具合)。
ダイバーシティーに富んだ沿線住民全員を、鉄道というインフラ企業がワンランクアップのライフスタイルへと「包摂」してくれる。
そんなことをイメージさせてくれるデザインだと感じた次第だ。
オーネの登録は無料。
小田急線沿線に住んでいる方や、職場が沿線にあるという方は、ぜひ登録をしてみてはいかがでしょう。
素敵なサービスやライフスタイルの発見に繋がるかもしれない。
シェアポーズを決めるONE TEAM(オーネチーム)の皆さま(写真:小田急電鉄よりご提供)
(後列・左から)
- 小田急電鉄株式会社 経営戦略部 ICTプラットフォームPJ ビジネスプランニング&テクノロジー担当 中野伸亮 氏
- 株式会社小田急エージェンシー プランニング部長 田村高志 氏
- 小田急電鉄株式会社 経営戦略部 部長 久富雅史 氏
- フューチャー株式会社(サービス・システム開発) 先山賢一 氏
- フューチャー株式会社(サービス・システム開発) 壷屋翔 氏
前列(左から)
- 小田急電鉄株式会社 経営戦略部 サーキュラーエコノミーPJ統括リーダー 正木弾 氏
- 小田急電鉄株式会社 経営戦略部 ICTプラットフォームPJ ビジネスプランニング担当 和田正輝 氏
- 小田急電鉄株式会社 経営戦略部 ICTプラットフォームPJ 統括リーダー 松田洋平 氏
- フューチャー株式会社(サービス・システム開発) 秦拓朗 氏
以下、リリース内容となります。