香りの世界にもテクノロジーを!人と空間に最適化された香りを紡ぐCODE Meee《前編》

インタビュー

 朝起きたら目覚めのフレッシュな香りと共に脳が覚醒し、お昼はクライアントとのミーティングなので気分の上がるスパイシーな香りを身にまとう。夜は気になる方とのファーストデートなので少々甘い香りで女子力アップし、帰宅後はリラックスするために落ち着いた緑茶のような香りが部屋に広がっている。

 そんな日常生活に根ざした香り生活が手に入るとすれば、人生がどれだけ豊かになることだろうか。

 人間が持つ五感の中で、香りを感じる嗅覚だけが唯一、情動(感情の動き)に直接伝わる感覚であると言われている。マインドフルな状態に直結する可能性を秘めた手段の一つが、自分に合った香りとの出会いなのだろう。

 そんな「パーソナライズアロマの提供」を、テクノロジーを活用して実現しようとする人物がいる。株式会社コードミー 代表取締役CEOの太田賢司(おおたけんじ)氏だ。

 同氏は一人ひとりの香り体験に寄り添うべく、朝・昼・夜それぞれのシーンに適したオリジナルアロマが自宅に送られてくるECサービス「CODE Meee(コードミー)」を一般向けに提供している。また、ライブ会場や映画試写会など、場面と空間に合わせた香りのプロデュースも行っており、香り業界における先進事例を次々と開拓している。

CODE Meeeサービスページより引用

 思えば、これまでの香料業界は「マスに最適化した香り」をひたすら追求してきた。それがフレッシュな柔軟剤の香りとなり、または甘いバニラフレーバーの香りとなって、ヒット商品の重要なファクターとなっていった。

 これからは香りも、個人と空間に最適化されていく。

 そう確信し、Love Tech Mediaでは嗅覚から始まる愛を模索すべく、同氏にお話を伺った。

 

ミッションは「新しい香り社会を描く」こと

--パーソナライズドされた香りって、非常に面白い分野と感じています!まずはじめに、貴社事業について教えてください。

太田賢司(以下、太田氏):弊社は「新しい香り社会を描く」ことをミッションに、ライフスタイルに香りを溶け込ませるべく、香りとテクノロジーへの新しいつながり方を考えています。

具体的には、大きく2つの事業を展開しています。

一つ目は、一人ひとりの生活に寄り添ったパーソナライズアロマを提供する「CODE Meee(コードミー)」です。一般消費者向けのサービスです。

朝・昼・夜、弊社ではStart・Shift・Sleepと表現しているのですが、それぞれの利用シーンに応じたアロマをオリジナルで調香し、それをエアミストとしてボトル詰めしたもの3本を継続的にお送りするサービスとなります。

利用者には最初に、WEBから名前や住所などの基本情報の他に、好きな香りや色のイメージ、期待するエモーションなどといったプロフィールを入力いただきます。その情報を元に弊社の香りデータベースから、その方にあった香りを調香して、3つのミストボトルに詰めて郵送します。

基本となる6つの香りの系統から3,000以上のパターンでリコメンドする、オリジナルの香りです。

もう一つは、香りを使った企業様向けのマーケティング支援です。

リゾート施設への香り導入や、音楽ライブ会場でのアロマ演出など、企業様の目的に合わせて最適な香りをオーダーメイドで創香し、唯一無二のアロマ空間を演出する「CODE Meee Produce」サービスを提供しています。

また、アーティストのファン向けオリジナルグッズと香りをコラボしたり、高級リゾート施設のアメニティグッズを制作するなど、最適な香りをオーダーメイドで創香してご希望の商品を開発・販売する「CODE Meee On Demand」サービスも提供しております。

特に最近、企業における香りマーケティングの需要が着々と伸びてきていると感じます。

クリエイティブでお洒落な仕事をしたかった

自宅に届くエアミストセット

--まさに香りに関するエキスパート企業ですね。そもそも太田さんはどのようなご経歴なのでしょうか?

太田氏:私は大学院まで一貫して化学の研究をしていまして、卒業後、新卒で国内最大手の香料会社に入社しました。そこで10年間、主にエバリュエーター(※)として勤務しました。

その後、2017年春に独立をしまして、弊社コードミーを立ち上げました。

※エバリュエーター:調香師と二人三脚で香りを創る専門職。消費者の気持ちに立って香りの世界観や種類など具体的な香り創作プランを立て、それをもとに調香師とイメージをふくらませながら、香りを創り上げていく。香りのプロデューサーのような役割を担う。

 

--取材の事前リサーチで、恥ずかしながら初めて香料会社のことを知りました。

太田氏:世の中にある香り付けされた商品の香りのほとんどは、実は香料会社が作っています。

入浴剤・ルームフレグランス・洗剤など、ほとんどの方はメーカーが一緒に商品の香りも作っていると考えていますが、実はメーカーからの依頼で香料会社が創香しているケースが非常に多いです。

完全にBtoBのビジネスモデルなので、あまり表に出てくるような会社ではないと思います。

 

--なるほど。太田さんは、いつ頃から香りに興味を持たれ、この業界に入られようと思われたのですか?

太田氏:高校生の時に香水をつけていたので、興味はそこから始まっていますね。ただ、仕事にしようと思ったのは、大学院生時代の就職活動の時でした。

当時の私が会社を選ぶときのポイントは大きく二つありまして、一つはクリエイティブなことをやりたい、そしてもう一つはお洒落な業界にいきたい、という2点でした。

色々と調べていく中で、フレグランス業界の面白さを知り、入社するに至りました。

8割にとってのLIKEより、1人にとってLOVEな香り

--独立をされたのは、何がきっかけだったのですか?

太田氏:今の香り業界の流れは、調香師やエバリュエーターなど一部のスペシャリストが、100人中80〜90人が好む香りを見極めて作る、というものです。

これももちろん大事な能力と作業なのですが、一人ひとりにもっと最適な香りを提供できれば、この業界ももっと変わると考えました。

食もスキルも、生活の様々なものがパーソナライズサービス化されているにも関わらず、香りの領域だけが置いてけぼりという状況です。

記憶や感情にダイレクトに届く香りこそが、本来はもっともパーソナライズサービス化されるべきではないか。100分の80がLIKEな香りも大事だが、1 to 1のLOVEな香りも大事なのではないか。

このように感じていました。

 

--香料会社の新規事業では実現できなかったのでしょうか?

太田氏:香りってトラディショナルな業界でして、新しいことを始めるには非常に時間がかかります。

特に私がやろうとしていたことはtoC向けのサービスですが、香料会社はtoB向けのビジネスモデルです。

また、このようなパーソナライズアロマのサービスは、高度な専門知識が必要なので、香りに精通する香料会社で経験を積んだ方でないとそもそもサービス開発できないだろうと思っていました。

このような背景から、自分が独立してやったほうが早いと判断しました。

--なるほど。CODE Meeeって、どういう意味で命名されたのでしょうか?

太田氏:CODEはプログラミングでいうコーディングと、遺伝子コードの2つの意味を示しています。

またMeeeは、私の“me”と、”Emotional Encounter”の頭文字を合わせたものです。

つまりまとめますと、「香りとテクノロジーで新しい香り社会をコーディングし、あなたにエモーショナルな出会い(エンカウンター)を提供する」ことを言語化した社名およびサービス名です。

ここでいう新しい香り社会とは、一人一人がより最適な香りに包まれ、明日への活力が溢れる社会のことをイメージしています。

 

--とても素敵なコンセプトですね!ロゴも、シンプルでお洒落ですね。

太田氏:3つの三角がそれぞれの色でそれぞれの方向を向いていますよね。

それぞれ異なる色調、ベクトルを持ちながらも、三位一体となって共創するJapanese originの新しい香り社会を表現しています。

 

》後編記事につづく

 

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