グループを横断する”カップリングユニオン”と”ラブテックラボ”
--立ち上げ当初と現在では、何か周囲の環境に変化はありますか?
合田氏:だいぶ変わりましたよ(笑)。立ち上げ当時はそれこそ、社内でもなかなか理解を得られない、シンプルに言うとどうしても”出会い系”の悪いイメージを引きずってしまうところがありました。そんな状況も、事業が順調に伸びて行くことで少しずつ理解を得て、「タップル誕生」とはコンセプトを変えて違うマッチングサービスにもチャレンジしていこうという風になりました。
伊香賀氏:あと、サービス開始して2〜3年目あたりから、『タップル誕生』で恋人ができた方が新卒で入社されるケースも出てくるようになりました。「タップルで彼氏ができて、本当に人生が救われました」といって入社してくれて、嬉しかったですね。
合田氏:社内としてもグループとしても体制が整って来て、現在は”カップリングユニオン”という、グループ横断の組織を発足して、活かせるノウハウを共有する仕組みを構築しています。
カップリングユニオン
サイバーエージェントグループで運営している全てのマッチングサービスを集結させた横断組織。 『タップル誕生』『CROSS ME(クロスミー)』『mimi(ミミ)』の3サービスが所属しています。 「インターネットで恋愛」を当たり前の世の中へというビジョンを掲げ、オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場でNo.1を目指します。
--カップリングユニオンはどのような役割を担っているのですか?
合田氏:基本的には、グループ内のマッチングサービスであれ”競合”という位置付けではあるものの、ノウハウを共有できるところはどんどんしていこう、という目的で発足しました。例えば『タップル誕生』は他サービスよりも運用歴が長いので、弊社ではカスタマーサクセスと呼んでいるお客様満足のための施策やプロモーションの仕方の部分で、積極的に事例共有するようにしています。また、他2社についても、もともとゲームを作る会社であったり広告運用に強みを持つ会社だったりと、背景が異なるので、それぞれの得意領域が異なっているのも、グループ全体としての強みかなと考えています。
また当社としては、グループ内だけでなくマッチングサービス市場全体の成長を推進していきたいので、”ラブテックラボ”という研究開発を行う組織を発足し、世の中に必要な情報を発信するようにもしています。
ラブテックラボ
オンライン恋活・婚活マッチングサービスの市場の発展に寄与することを目的に、関連する情報発信を行う専門組織として市場調査や様々なテーマで意識・実態調査を行い、恋活・婚活の手段の一つとしてマッチングサービスの可能性を社会に届けております。
また、2011年に設立したサイバーエージェント運営メディアのデータ解析やデータマイニングなどを行う研究開発組織「秋葉原ラボ」と連携し、技術的知見の共有も積極的に進めています。
合田氏:僕たちビジネスサイドの人間ばかりですと、新しい技術を取り入れていこうというのがどうしても遅れてしまうので、ラブテックラボでは技術者の方をトップに据えて、ビジネスとは一旦切り離した部分で研究をするようにしています。。現在はサービスの利用規約に反する行動を取るユーザーを自動検出する仕組みなど、セキュリティの部分に力を入れて技術研究をしています。
マッチングだけでなく実際に出会える仕組みへ
--最近のアプリとしての大きな動きを教えてください。
合田氏:『タップル誕生』で「おでかけ機能」という新機能を、今年の4月にリリースしました。マッチングサービスのゴールって、「出会い」につながることだと思うのですが、サービスを運営しているなかで、意外とメッセージが続かない、実際に会うまでの約束までに至らないという課題を感じていたのと、ユーザーの方からもそのような声を頂いていたので、何とかこの課題をクリアにできないかという観点で開発しました。
伊香賀氏:「おでかけ機能」は、女性が気になる「おでかけプラン」を設定してから24時間以内に男性からデートのお誘いが届く機能です。例えば女性が「ハワイアン料理が気になる!一緒に食べにいきたい!」と気軽に男性に提案することで、はじめて交わすメッセージから「出会う」ことを前提としたコミュニケーションではじまるのが特徴です。
合田氏:今後は、例えば遊園地や映画館などとコラボし、ユーザーの方がデートで利用できるタップル限定のオリジナルチケットなど用意することなども挑戦していきたいです。
--知らない方と遊園地などに遊びにいく感覚って、30代の僕からするとちょっと抵抗があるのですが、その辺りは若い方は違うんですね。
合田氏:ここは僕たちも、常に意識して若い方の意見やお話に触れるようにしています。おでかけ機能の開発チームはプロデューサー含め全員20代ですし、開発チームよりも若いユーザーの方のご意見を直接ヒアリングできるような仕組みとして、「Tapple Tea(タップルティー)」というユーザー参加型のサービス改善プロジェクトを定期的に実施しています。
--今後も、婚活というよりかは、より気軽な出会いをメインで事業展開されていきますか?
合田氏:そうですね。やはり出会いの部分で若い方の利用シーンがより多くなって来ているのと、一方で他アプリではまだまだセキュリティ部分でしっかりと対応できていないのかな、と思うようなものも多いので、我々が安心安全な仕組みで提供していって盛り上げていきたいと考えています。
--現在マッチングサービスを使っていない独身の方々に対しては、どのように訴求されていますか?
伊香賀氏:一つは動画ですね。若い方を中心に動画を見る文化が着実に浸透しているので、弊社でもYoutubeでチャンネルを作って、主に恋愛テーマに即した街の声をヒアリングして発信するようにしています。
今ちょうどマッチングサービスや弊社アプリの認知率をリサーチしていまして、マッチングサービスの認知率自体は若い世代ですと6〜7割ほど認知されているのですが、弊社のアプリはまだまだ認知率は低いな、ということがわかっています。
今までは恋愛や異性と出会うことへ意欲が健在化した方々へのプロモーションを中心にしていたのですが、今後はそういった方でない方にもサービスに対して興味を持ってもらえるようなプロモーション活動を行っていきたいと思っています。
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