記事の要点
・2016年に上演して話題となったVR作品『日本工芸の名宝 色絵月梅図茶壺・八橋蒔絵螺鈿硯箱』が、令和2年1月2日から3月8日まで、東京国立博物館東洋館内TNM & TOPPAN ミュージアムシアターにて再上演される。
・「色絵月梅図茶壺(いろえげつばいずちゃつぼ)」とは、江戸時代前期の京焼色絵陶器の完成者として名高い野々村仁清(以下、仁清)による重要文化財。また、「八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)」とは、本阿弥光悦の様式を継ぎながら独自の作風を確立した、“琳派”の中心的芸術家である尾形光琳(おがた こうりん)による国宝。
・細部を拡大し微細な螺鈿細工を鑑賞し、また硯箱と壺それぞれの内側に入り込む仮想体験によって、名工が作り出した絶対的な美の世界を鑑賞し、日本が誇る名宝の美しさを堪能することができる。
LoveTechポイント
江戸時代より残る名宝を、VRという現代技術を用いて「新たなる手法」で鑑賞できる点が、非常に尊くLoveTechだと感じます。
「色絵月梅図茶壺」について、来館時期によってはVR作品の他に「現物」を鑑賞することも可能な点が、より希少性を高めていると感じます。
編集部コメント
2016年に上演して話題となったVR作品『日本工芸の名宝 色絵月梅図茶壺・八橋蒔絵螺鈿硯箱』が、令和2年1月2日から3月8日まで、東京国立博物館東洋館内TNM & TOPPAN ミュージアムシアターにて再上演されることが発表された。
「色絵月梅図茶壺(いろえげつばいずちゃつぼ)」とは、江戸時代前期の京焼色絵陶器の完成者として名高い野々村仁清(以下、仁清)による重要文化財。
仁清は、天皇や公家など身分の高い人々のために作品を作り、京都御室仁和寺門前の御室焼を指導し、“色絵”によって焼き物の新境地を開いた人物である。
その代表作となる「色絵月梅図茶壺」では、見事なまでの轆轤(ろくろ)の技を見ることができ、上絵具と金泥を使い、立体意匠の魅力を充分に生かして、気宇の大きな狩野派風の月梅図を描いている。
また、もう一方の「八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)」とは、本阿弥光悦の様式を継ぎながら独自の作風を確立した、“琳派”の中心的芸術家である尾形光琳(おがた こうりん)による国宝。
その輝きが高貴な風合いを醸し出す金蒔絵や螺鈿などを用いた装飾が施されており、外側には蒔絵や螺鈿を用いた燕子花(かきつばた)を、また内側には金蒔絵を用いて光琳波(こうりんなみ)と言われる波模様が描かれている。
さらに鉛板を用いて八橋を表現するなど、「伊勢物語」に登場する“三河国八橋”の情景が、硯箱の小空間に見事にデザイン表現されている。
本作品では、この2つの名品をVRならではの方法で鑑賞するという。
細部を拡大し微細な螺鈿細工を鑑賞し、また硯箱と壺それぞれの内側に入り込む仮想体験によって、名工が作り出した絶対的な美の世界を鑑賞し、日本が誇る名宝の美しさを堪能することができる。
具体的には、例えば光の変化に応じた金蒔絵のきらめきや、見る角度に応じた螺鈿細工の色の変化を、VR技術を使って表現している。
また、CTスキャンなどのデータを活用して、作品の造形だけでなく金泥のわずかな盛り上がりなども再現しており、硯箱と壺それぞれの中に入り込む仮想体験によって、名工が作品の中に作り出した世界観を堪能することができる。
ぜひ、以下動画でイメージを掴んでいただきたい。
今回の再上演では、初めての試みとしてVR作品の特長を活かし、上演するナビゲーターごとにBGMを使いわけるという。
BGMが変わることで複数回鑑賞しても作品の印象が変わり、それぞれ異なった雰囲気を持つ上演との一期一会の出会いを楽しむことができるとのこと。
また、東京国立博物館では1月28日〜4月19日まで、本館8室にて重要文化財「色絵月梅図茶壺」が展示され流予定なので、1月28日〜3月8日(VR作品上映最終日)までの期間は、実物とVRの双方を鑑賞することが可能となっている。
上映概要は以下の通り。
場所 | 東京国立博物館東洋館地下1階 TNM & TOPPAN ミュージアムシアター |
期間 | 2020年1月2日(木)~3月8日(日) |
上演日時 | 水・木・金12:00、13:00、14:00、15:00、16:00 土・日・祝・休日11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00 *所要時間約35分、各回定員90名 *2020年1月2日(木)、3日(金)は11:00回に追加上演を行います |
鑑賞料金 | 高校生以上:500円、中学生・小学生:300円 未就学児、障がい者とその介護者各1名無料 *総合文化展当日券(一般620円/大学生410円)とセット購入で一般1000円/大学生800円 *開演時間までにチケットをお買い求めください(当日券のみ)。 |
シアターWebサイト | http://www.toppan-vr.jp/mt/ |
VRのような技術の発達により、美術や骨董品といった芸術作品の鑑賞方法も確実に変わっていく。
より没入感ある鑑賞に興味のある方は、ぜひ、江戸時代に作られた日本を代表する工芸品を、VRで鑑賞しに行かれてみてはいかがでしょう。
以下、リリース内容となります。