記事の要点
・駅名を中心に、表記が“ひらがな”で表示される地図「えきのなまえマップ」が、凸版印刷株式会社のグループ会社である株式会社ONE COMPATHより公開。(日本初のインターネット地図サービス「マピオン」を提供する会社)
・「えきのなまえマップ」は、従来よりも表現の自由度が向上し多彩な展開を可能にする「ベクター地図」を活用したサービス開発の一環として、実験的に公開されたもの。
・ひらがなを覚えた幼児が自然と地図を読み解く力を養えるよう、「マピオン」をベースに、全ての文字がひらがなで表示。電車が好きな幼児が多いことを意識し、駅の名前を中心として、自治体の名称もひらがなで表示する仕様としている。
LoveTechポイント
文字が読めることは、子どもにとっては最高のエンタメの一つ。縦横無尽に広がる地図の表記が読めるようになることは、きっと子ども達に大いなる興味の風穴を開けてくれることでしょう。
「ベクター地図」という技術を活用し、幼児の知的好奇心に寄り添う形で地図が「再発明」されている点が、LoveTechだなと感じます。
編集部コメント
駅名を中心に、表記が“ひらがな”で表示される地図「えきのなまえマップ」が、凸版印刷株式会社のグループ会社である株式会社ONE COMPATHより公開された。
同社では、1997年に日本初のインターネット地図サービス「マピオン」の提供を開始して以来、地図や位置情報に関する技術や研究の開発を続けており、新技術の検証などを行っていく場として2016年に「マピオンテックラボ」というサイトをオープンしている。
「えきのなまえマップ」はその中で、従来よりも表現の自由度が向上し多彩な展開を可能にするベクター地図(※)を活用したサービス開発の一環として誕生し、公開された実験コンテンツだという。
※サーバーから画像として配信される地図(ラスター地図)ではなく、サーバーから地図を構成するポイント(点)やライン(線)、ポリゴン(面)の座標と属性データが配信され、クライアント(ブラウザやスマートフォンアプリ)上で画像として描画する地図のこと。「ベクター地図」では、自然な回転や鳥瞰表示が可能となり、多様化する様々な解像度の端末において鮮明な地図表示が可能になる。また「道路」や「建物」、「記号」といった地図上の特定レイヤに対して表示/非表示の切り替えや、色・透明度・輪郭の太さといったスタイルを動的に変更することが可能なため、利用シーンや用途に応じた地図のカスタマイズ表現を効率よく行うことができる
開発の背景にあるのは、2020年度より順次実施される小学校から高校までの新学習指導要領とのこと。
新学習指導要領では、小学校3年生から授業で地図を活用し、2022年度より高校で地理が必修科目となることが決定している。故に、子ども達には「地理空間情報リテラシー」(地理的な空間認識や、地理情報を活用する力)の向上が求められているのだ。
幼児教育も例外ではなく、地図コンテンツは教育ツールとして良く活用されているものの、これまでは日本全国のスケールで描かれたものが多く、認識できる空間スケールが狭い幼児にとって理解しにくいものになっているのが現状だ。
そこでONE COMPATHでは、ひらがなを覚えた幼児が自然と地図を読み解く力を養えるよう、「マピオン」をベースに、全ての文字がひらがなで表示される「えきのなまえマップ」を開発。電車が好きな幼児が多いことを意識し、駅の名前を中心として、自治体の名称もひらがなで表示する仕様としている。
そして驚いたことに、この「えきのなまえマップ」は、2019年度の新入社員である鹿野健人氏が、OJT研修でアイディアを発表し実現したものだという。
以下、ご本人のコメントの一部である。
「『えきのなまえマップ』は、鉄道に関心がある子どもたちに、どこに何という名前の駅があるのかについて考えながら見てほしいです。漢字との切り替え機能があるので、漢字の学習にも役立つと思います。『えきのなまえマップ』が子どもたちの『地理空間情報リテラシー』の向上に寄与できたら大変嬉しいです。」
小さなお子さまがいる方はもちろん、大人が見ても新鮮な地図景色を楽しむことができるので、一見の価値ありだ。
東京駅付近の「えきのなまえマップ」
https://mapion.github.io/ekinonamae-map/#13/35.68373/139.76099
以下、リリース内容となります。