FinTechとRegTech、新しい成長の源泉へ期待高まった4日間 〜FIN/SUM 2019 Report 1

イベントレポート

FIN/SUM 2019 開幕!

 日本経済新聞社と金融庁が共催する、国内最大のFinTech & RegTech(※)カンファレンス「FIN/SUM(フィンサム)」が、9月3日から4日間に渡って東京・丸の内で開催された。

FinTech(フィンテック):金融(Finance)× 技術(Technology)の造語。世の中にある多種多様な金融サービスと情報技術を結びつけた、様々な革新的動向を示す
RegTech(レグテック):規制(Regulation)× 技術(Technology)の造語。主にICTを活用して複雑化・高度化が進む金融規制に対応する金融ITソリューションを示す

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 今年で4回目となるFIN/SUMのメインテーマは「新しい成長の源泉を求めて」。

 世界中に存在する環境問題、地域間格差、高齢化といった様々な社会課題の解決に役立つ技術トレンドとして、国内外におけるFinTechの潜在力とRegTechの重要性を広く発信することが、大きなミッションとして掲げられていた。

 ここに至るFIN/SUMシリーズの経緯については、FIN/SUM運営事務局を事前取材した記事をご参照いただきたい。

 今回のFIN/SUMでは合計80近くのセッションが設定され、それぞれにおいて国内外様々な要人が登壇。FinTechおよびRegTechにおける今後の可能性や課題について、金融・企業・政府・大学・スタートアップ等が集結して活発に議論が交わされた。

FIN/SUM 2019の3日目、9月5日に同時開催された金融庁主催シンポジウム「フィンテック・サミット 2019」では、副総理・財務大臣・金融担当大臣である麻生太郎氏が登壇。米Facebookが発表した「LIBRA」をはじめとする新たなデジタル通貨について、既存の規制における想定不足や課題の抽出、および規制当局による迅速な対応が必要であるとの見解を示した

 当メディアでは様々なテーマカテゴリーの中でも、「RegTech / SupTech」「社会課題解決」「金融包摂&社会的包摂」「デジタルガバメント」「エコシステム形成」といったテーマ領域を中心に、全22回(予定)に渡って、LoveTechに通ずると編集部が感じた各セッションの様子をお伝えしていく。

 レポート第1弾となる本記事では、まず始めに、我が国がFinTechおよびRegTechを通じて目指す全体的な指針を確認するべく、2日目登壇の黒田東彦(くろだはるひこ)日本銀行総裁、3日目登壇の遠藤俊英(えんどうとしひで)金融庁長官、そして4日目登壇の根本匠(ねもとたくみ)厚生労働大臣 衆議院議員、それぞれによる講演内容について、順番にお伝えする。

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FinTech企業と銀行が一体となって「銀行家」となれ

 日本銀行の黒田東彦総裁からは「金融・技術の融合と新たな成長機会」というテーマで挨拶が述べられた。

 同氏は経済学者ヨーゼフ・シュンペーターの著書『経済発展の理論』からの引用を通じて、「企業家」によるイノベーションと「銀行家」による適切な対象企業家への資金サポートがあってこそ、マクロ的に見て効率的な資金配分が実現し、経済成長を内生的に高めていく、と説明した。

 ここで言われる「銀行家」とは、シュンペーターの生きた時代とは異なり、銀行以外にもVC(ベンチャーキャピタル)やFinTech企業の一部機能も含まれることになる。つまり、FinTech企業は「企業家」であり、同時に「銀行家」でもある可能性があるということだ。

 昨今世の中でさけばれ続けている「イノベーション」という言葉だが、シュンペーターはこれを「新結合」という言葉で表現しており、FinTech企業による“新結合”の事例が各所で見られる。

 例えば会計ソフトベンダーなどは、会計情報処理と信用情報生産を、文字通り「新結合」させたものといえる。顧客企業の同意があれば、粒度の高い詳細な商流・決済情報を効率的かつ即時に取得することができる。また、入手したデータの分析にAIや機械学習を活用することで、顧客の信用状態の評価ができる。昨今でトランザクション・レンディング(※)なる新しい融資の形が実現している背景には、このような流れがあるわけだ。

※トランザクション・レンディング:財務情報を元に借入条件を決定する従来の融資形態ではなく、日々の取引データを元に借入条件を決定する融資形態

 よってこの新結合は、信用評価に要するコストの引き下げや、審査期間の短縮化、モデルの精度向上を通しての効率的な融資スキーム構築を可能にする。

 一方、FinTech企業には十分な資金を備えていないケースも多く、顧客から寄せられる資金需要への対応が課題となり得る事から、金融機関による資金供給サポートが、今後ますます望まれる。

「金融仲介機能において、情報生産機能と資金提供機能のそれぞれに比較優位を持つ主体が協力して、より優れたサービスを提供する。すなわち、フィンテック企業と銀行が一体となって「銀行家」としての役割を積極的に果たすことができれば、新たな成長の源泉を生み出すことになるでしょう。

次ページ:遠藤俊英 金融庁長官「AI、ブロックチェーン、API、そしてビジネス革新」

長岡武司

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LoveTech Media編集長。映像制作会社・国産ERPパッケージのコンサルタント・婚活コンサルタント/澤口珠子のマネジメント責任者を経て、2018年1...

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