2020年3月10日、金融庁と日本経済新聞社は、BG2C(Blockchain Global Governance Conference)の特別オンラインパネル討論を開催し、そこで、ブロックチェーンに関する新たな国際的ネットワーク「BGIN(ビギン)」(Blockchain Governance Initiative Network)の設立が発表された。
BG2Cとは、ブロックチェーンをテーマにしたグローバルイベント。金融庁と日本経済新聞社が、2016年より共催してきた国内最大級のFinTech & RegTechカンファレンス「FIN/SUM(フィンサム)」のスピンオフとして企画されたものである。
[clink url=”https://lovetech-media.com/eventreport/bg2c20200130/”]上記事でも述べているが、BG2CおよびBGINでのキーワードとなるのが「マルチステークホルダー・ガバナンス」である。
私たち全員が“愛あるウェルビーイングな生活”を営む上で、この領域への理解と当事者意識こそが最上流工程として必須だとの考えから、本記事では、BGINの概要や目指すところ、および発表当日のオンラインパネル討論内容についてお伝えする。
今こそマルチステークホルダー・ガバナンスが求められている
BGIN Declaration [March 10, 2020]より
「BGIN」とは、ブロックチェーンコミュニティの持続的な発展のため、すべてのステークホルダーの共通理解の醸成や直面する課題解決に向けた協力を行うための、オープンかつ中立的な場を提供する団体と定義されており、その活動目標として、以下3点が暫定的に掲げられている。
- オープンかつグローバルで中立的なマルチステークホルダー間の対話形成
- 各ステークホルダーの多様な視点を踏まえた共通な言語と理解の醸成
- オープンソース型のアプローチに基づいた信頼できる文書とコードの不断の策定を通じた学術的基盤の構築
そもそも、なぜこのような団体設立に至ったのか。なぜ、マルチステークホルダー・ガバナンスが大切なのか。その背景等について金融庁長官である遠藤俊英氏が、規制当局としての考えを述べた。
遠藤氏:「この数十年間、金融分野は銀行の送金システムやインターネットバンキング等、極めて創造性に富んだアーキテクチャを組む形で、独自の発展を遂げてきました。特にブロックチェーンに支えられた分散型金融システムは、人の手を介さずに運営でき、完全なP2Pの金融取引が可能な、新たな金融サービスを実現させる可能性があります。また高いプライバシー性や対改ざん性といった、ブロックチェーン技術の重要な特性は、金融インフラにおける強固なセキュリティをもたらすものです。
一方で、現在の規制の枠組みを前提にすると、プライバシー強化技術が発展するに連れて、サイバースペースにおける不正取引の追跡可能性が損なわれ、規制の執行能力も失われるという事態に直面することには留意が必要です。
その中で我々規制当局は、消費者保護や金融の安定、AML/CTFを含む主要な規制目標を達成し、広範な社会的な便益を享受するよう対応する必要があります。
高度に分散化された金融システムは、全ての金融規制当局に対して多くの課題を突きつけており、状況が複雑化するにつれ、規制当局だけでなく、出会ったことのないステークホルダーとの適切な調整をせねば、金融システムを持続させるのは難しいかもしれません。
このことを念頭に置くと、今こそ新しい新しいアプローチを開発し、イノベーションの促進と規制目標の達成との間の、よりよいバランスの実現に取り組むべきなのです。」
このような状況を踏まえ、これまで金融庁は「ブロックチェーン国際共同研究プロジェクト」や、その成果を踏まえた「ブロックチェーンラウンドテーブル」を通じて、様々なブロックチェーン・ステークホルダーとの対話や協働を行ってきた。その上で、昨年日本を議長国として開催された「G20 財務大臣・中央銀行総裁会議(福岡)」においては、金融の分散化の進展を見据えた新しい形のグローバルな協力体制構築のため、規制当局と幅広いステークホルダーとの間の対話を強化することの重要性について、国際的合意を得た経緯がある。
インターネット標準化団体「IETF」を参考に
BGIN創設メンバーには23人、日本の金融庁のほか、国際金融協会、大手仮想通貨取引所、大学教授、ビットコインやイーサリアムの開発者など、まさにマルチステークホルダーと言える面々が参画している。
- ジュリアン・ブリンガー[Julien Bringer](Kallistech)
- ブラッド・カー[Brad Carr] (国際金融協会[IIF])
- ミシェル・フィンク[Michele Finck](独Max Planck Institute for Innovation研究所)
- ホアキン・ガルシア・アルファロ[Joaquin Garcia-Alfaro](仏Institut Mines-Télécom / フランス工科大学)
- バイロン・ギブソン[Byron Gibson](米スタンフォード・ブロックチェーン研究センター)
- 李 慧[Hui Li](Huobi Blockchain Academy)
- フィリップ・マーティン[Philip Martin](Coinbase)
- 松尾 真一郎(米ジョージタウン大学)
- 三輪 純平(金融庁 フィンテック室)
- カタリーナ・ピスター[Katharina Pistor](米コロンビア大学 ロースクール)
- ニー・クエイノア[Nii Quaynor](Ghana Dot Com Ltd)
- ジェレミー・ルービン[Jeremy Rubin]
- ダニー・ライアン[Danny Ryan](イーサリアム財団)
- デービッド・リプリー[David Ripley](Kraken)
- 崎村 夏彦(OpenID Foundation)
- 佐古 和恵(Sovrin Foundation)
- マイ・サンタマリーア[Mai Santamaria](アイルランド財務省 ファイナンシャルアドバイザリー部門)
- 須賀 祐治(株式会社インターネットイニシアティブ / CGTF)
- 鈴木 茂哉(BSafe.network /慶應義塾大学/ WIDEプロジェクト/ BASEアライアンス)
- 高梨 佑太(金融庁 総合政策局 総務課 国際室 / 元ジョージタウン大学)
- ロバート・ワードロップ[Robert Wardrop](英ケンブリッジ大学 オルタナティブ金融センター)
- ピンダー・ウォン[Pindar Wong](VeriFi (Hong Kong) Limited)
- アーロン・ライト[Aaron Wright](米イェシーバー大学 カルドゾ・ロースクール)
特に面白いのが、インターネット領域におけるパイオニアも参画している点(ニー・クエイノア氏やピンダー・ウォン氏)。ブロックチェーン領域におけるガバナンスを考える上で、インターネットの歴史と取り組みが参考になると、遠藤氏は続ける。
遠藤氏:「サイバースペースの歴史を振り返ると、インターネットはステークホルダーの集合的努力によって、分散ネットワークのアーキテクチャに由来する多くの課題を調和してきたという点で、最も示唆に富む一つの例を提示してくれるかもしれません。
インターネットは1日にしてならず。法域をまたぐトップダウンでのコントロールの試みと失敗を重ね、インターネットはそれをガバナンスするためのステークホルダー間の理想的なモデルにたどり着きました。
インターネットにおける現在の標準プロトコルは、オープンでグローバルな非営利組織である、インターネット・エンジニアリング・タスクフォース(IETF)で開発されています。IETFの「ラフ・コンセンサス(Rough Consensus)」と「ランニングコード(Running Code)」という理念は、分散化されていく金融システムのガバナンスを設計していく際の一つのモデルになるかもしれません。
ブロックチェーンに基づくシステムは、インターネットアーキテクチャと多くの共通点を有するため、他の分野で培われた様々な努力を学び、将来の金融システムにも新たな形式のプロトコルを反映していくべきと考えます。」
BGIN Declaration [March 10, 2020]より
大まかな合意に基づく技術仕様を作成し、そこから相互接続実験や実運用を通じて、スパイラル型に改善等を加えながら具体的な仕様を実装していく。このような柔軟な仕様策定プロセスこそ、ブロックチェーン領域においても有効である可能性があるというわけだ。
BGINで想定している主なアクティビティは以下5点。
- オープンでグローバルで中立的なフォーラムを提供する
- 国内外様々な場所で会議やイベントを主催する
- 国内外様々な利害関係者に働きかけ、関連組織と協力する
- ラフ・コンセンサスによって重要な成果を生み出す
- 公共政策の設計と実施に貢献する
まずは2020年秋に最初のBGINミーティング「BGIN Block 01」を開催し、その後2021年の早い段階で「BGIN Block 02」へと続けていくロードマップを想定しているとのことだ。
オンラインパネル討論
では、実際に創設メンバー各位はどのような考えをもって参画をしているのだろうか。BGIN発表当日に併催された特別オンラインパネル討論「金融多様化のためのマルチステークホルダープラットフォーム -ガバナンス新時代の到来-」でのQ&Aを通じて探っていく。
- 上段左:ジェマイマ・ケリー(フィナンシャル・タイムズ FT Alphaville記者)※モデレーター
- 上段中央:ピンダー・ウォン(VeriFi (Hong Kong)会長)
- 上段右:アーロン・ライト(イェシーバー大学 カルドゾ・ロースクール教授)
- 下段左:松尾真一郎(ジョージタウン大学 研究教授)
- 下段中央:遠藤俊英(金融庁 長官)
- 下段右:マイ・サンタマリーア(アイルランド財務省ファイナンシャルアドバイザリー部門長)
金融庁もステークホルダーの一員
[質問内容]
マルチステークホルダーの政府プラットフォーム「BGIN」を設立し、ブロックチェーン議論を活性化させようという流れについて、金融庁はどのような動機からこの取り組みをリードしているのか?また、その動きについて他の国はどのように捉えているか?
遠藤氏:「ブロックチェーンや分散化技術などの新しいテクノロジーは、大きなチャンスであると同時に、リスクも生み出す可能性があります。
暗号資産のマーケットサイズは、今ある金融システムとは比べ物にならないほど小さいわけですが、相互接続性・適応可能性が強化されないと、金融システムへの影響は大きいと感じます。
金融規制当局としての責任は、金融危機を未然に防止することであり、同時にイノベーションが持続可能な社会の発展に寄与することでもある。だからこそ我々は、早い段階から規制の整備を行ってきたわけです。
しかし、分散型金融システムにはまだ脆弱性が残っていると感じます。
規制当局だけでは十分ではなく、その他のプレイヤーや学会・テックコミュニティとの連携を強化し、顧客の安全を守っていかねばならないと思っています。」
遠藤俊英(金融庁 長官)
遠藤氏:「日本としては、技術主導型の社会をサポートしていくと同時に、顧客保護や投資家保護もないがしろにしない、というのが基本スタンスです。この2つのバランスがとても大切だと感じています。
一般的に、新しい技術については「全面的に禁止する」「監視する」「規制する」という3種類のアプローチがありますが、全面的な禁止は、規制側としては安全な反面、新しい技術を殺してしまうことになるので、これは良くないと考えます。故に、禁止を導入する国は少ないです。
一方で規制というのは、分散型テクノロジーの場合は難しいものです。
従来型の規制は、常に中間業者がいて、それをベースにしたものでした。規制当局は、一つひとつのプレイヤーを規制するのは無理があったので、この中間業者を規制してきたわけです。
でも、新しい金融システムでは、プレイヤーが直接繋がり合う。言ってしまえば中抜きなんです。従来型の規制では、なかなか効果をあげることはできません。
だからこそ、コラボレーションの可能性を模索していかねばならず、それがマルチステークホルダー同士による協力という形に至ったわけです。特にテクノロジー・コミュニティとの対話が、とても重要だと考えています。
金融庁としては、今後は一歩引いた「ステークホルダーの一員」となって、他のステークホルダーと一緒に、新しい形の規制を作っていく予定です。」
アーロン・ライト(イェシーバー大学 カルドゾ・ロースクール教授)
ライト氏:「エコシステムが問題を抱えるとしたら、中抜き自体がが問題のタネになるとは思っていません。インターネットも、中間業者がなく、直接情報が行き来しています。
でもそれが広がったのは、中間業者が出てきて、発展に寄与してきたから。ブロックチェーンはまだ何者かわからないので、だからこそ、出来るだけ多くのステークホルダーを巻き込んで、何が複雑でどこが難しいかについて理解を深めることが大事なフェーズだと感じます。
すでにイーサリアムではスマートコントラクトベースのシステムが出てきていますよね。完全にコードベースのシステムで、これがエクスチェンジを外す形になってきております。
また、それぞれの法域が交換業者に規制をかけたとしても、分散型の交換業者が普及したらどうするのか、という議論があるわけです。今はまだ一元化された交換事業者への規制が主流ですが、交換業者そのものが分散化したらどうするのか。こういった問題もあります。
いずれにせよ、この領域は個人の資産に関わる話なので、インターネットよりもかかっているものが大きく、しっかりと取り組んでいく必要があるでしょう。
だからこそ、BGINはとても良い取り組みだと思います。」
マイ・サンタマリーア(アイルランド財務省ファイナンシャルアドバイザリー部門長)
サンタマリーア氏:「単に新しいテクノロジーを現在のビジネスに当てはめていくのではなく、伝統的な金融ストラクチャーを横に置いて、これから先をゼロベースで見ていかねばならないでしょう。20年後はどうなっているのか、と。
だからこそ、各当局が「企業の活動」中心で見てみてはいかがでしょうと思うわけです。銀行ではなく、銀行の活動を見るということです。
ブロックチェーンが想定通りに動く場合、我々が現在仲介者に与えている信頼は、ブロックチェーンから与えられることになります。我々は現在の金融サービスのマインドセットで固まっていますが、コンセンサス・アルゴリズムであれ、ガバナンスであれ、今後は企業から離れていくものだと思っています。
あと、ブロックチェーンの話になるとよく金融サービスの規制の話になるのですが、本来的には様々なセクターで活用できる技術です。必ずしもトップダウンの規制がなくても働くと感じます。だからこそ、規制関係でなくとも集まって話すことが大切だと思います。」
テクノロジー・ドキュメントの整備を進めよ
[質問内容]
実際にマルチステークホルダーのプラットフォーム・ガバナンスシステムを作る際に、どんなことに留意すれば良いのか?
松尾真一郎(ジョージタウン大学 研究教授)
松尾氏:「私からは一点、ドキュメントの重要性を指摘したいと思います。
新しい技術を開発するときには、まずテクノロジー・ドキュメントを作ってそれを専門家がレビューする。これを経て内容の正しさが確認されたら、エンジニアがインプリメンテーションしていくというプロセスがあります。
でもインターネットができて、シリコンバレー流の開発スタイルが進んだことにより、ドキュメントを書く前に、ソフトコードを開発するという順番になったのです。
これによって新しいサービスを短期間でリリースすることができるようになったわけですが、一方で規制当局としては、テクノロジーの透明性をどう担保するかという新しい課題が出てきました。
今のブロックチェーン・デベロッパー達は、クリアなドキュメントを作っていません。公表もされていません。なので、サードパーティーや研究者が、テクノロジーの正しさを確認・検証できないのです。
技術の透明性を全てのステークホルダーに担保するには、ドキュメントを作るようにクリエイターをサポートする必要があります。そして私としては、それを“学会”がサポートできるんじゃないか、と考えています。」
新たな技術が出てくると、世の中の「前提」も変わる
[質問内容]
インターネットのガバナンスシステムを省みて、私たちはどんな学びを得ることができるのか?
ピンダー・ウォン(VeriFi (Hong Kong)会長)
ウォン氏:「そもそもですが、インターネットとの比較は良い側面がもちろんありますが、限度もあります。つまり、想定・前提が変わってくることを、非常に慎重に考える必要があります。
よく使う事例として「電話」について考えましょう。
電話は、元々は複雑な規制がかけられていました。法律には国境があるので、自分たちが作ったルールであればしっかり守る、という意識で動いていました。また、長距離電話をかけたら、その分お金がもかかるということも、みんなわかっていたわけです。
それが、インターネットが出てきたことで前提が変わりました。インターネットは、その定義上ではクロスボーダー。現在8万ほどのネットワーク網があって、これがインターネットを構成しており、距離を問いません。
つまり、私たちは「コストと距離が同じ」という前提の考え方を打ち倒したのです。ライブストリーミングを使えば、距離とコストはほぼ比例しませんよね。
テクノロジーが出てきて前提が変わってくると、アーキテクチャが変わってくるので、マーケットの構造も市場の参加も変わってきます。このような流れから、分散化された世界において、例えば「中央銀行」はどんな役割があるのかといったことを考えていく必要があるでしょう。
あともう一つ。ブロックチェーンはまだ誕生して10年のテクノロジーですが、人々の資産を扱っているという観点で、そのリスクが高まっていると言えます。またある意味で、人々はそれに対して発言権がないわけです。これは倫理的に間違っているでしょう。
かつてICANNという組織で副会長をやっていたのですが、インターネットの世界でも、DNS(ドメインネーム・システム)の領域で問題がありました。そこからの教訓として、大きな間違いを犯さないためには、集団としての選択をする必要があるということです。あと多様性も必要。その場合、最初はノイズもありますが、時間が経つとプライオリティの概念が浸透していって機能するようになります。
今回の、日本による非常に大胆なアプローチは、もう一度ゼロから作り直すチャンスが到来していると感じ、ワクワクしています。」
各ステークホルダーが小さな責任を担い合う。これがブロックチェーンのあり方
[質問内容]
分散型金融システムの世界における、誰の許可もなくマルチステークホルダーによる議論が起こせるパーミッションレス・イノベーション(Permissionless Innovation)について、どのように考えているか?
ライト氏:「米国の立場から見ても、パーミッションレス・イノベーションはとても重要であり、維持をしていかねばならないものです。
ブロックチェーン技術の目的は、グローバルに統一されたレイヤーを再構築すること。価値の移転サポートだけでなく、人間活動のコーディネートをする役割もあります。グローバルで包摂的なシステムを作っていくことが大事であり、だからこそインターネットよりも価値が上がってくる可能性があります。
我々がインターネットから学んだのは、様々な下振れリスクがあるということ。80年代にはそのリスクがたくさん指摘されてきた経緯があり、今回もその流れだと思います。」
ウォン氏:「市場はあるし技術もそこにあるのだから、あとはニュアンスが大事ですね。どういう風に利用され、倫理的なのか。その辺の議論がまだ乗っておらず、リサーチして商業化するではなく、最初から商業化から始まってしまいました。
インターネットもそうでしたが、まずはベーシックリサーチ、基礎研究が必要です。その上で、議論の枠組みが必要。社会は間違いなく、その方向に進んでいます。」
松尾氏:「多くの人はビットコイン等を「トラストレス・システム」とおっしゃいますが、個人的なには、“トラストレス”という言葉は好きではありません。
そうではなくて、新しいトラストが生まれているんだと思います。
エンジニアがソフトウェアコードを作る。これは、ソフトウェアバグや脆弱性を避けるための、ある種のトラストです。学会は、それぞれのテックを評価する。また規制当局は、エコシステムが一般人にとってトラスタブルかを担保する。
このように各ステークホルダーが、全体のエコシステムが真にトラスタブルになるための貢献を、それぞれが進める。
みんなが小さな責任を担い合う。これがブロックチェーンのあり方なんだと思います。」
編集後記
昨年度よりLoveTech Mediaでは、「マルチステークホルダー・ガバナンス」の必要性と、一人ひとりのペインポイント目線での当事者意識が必要との立場で、日経「/SUMシリーズ」を中心に発信してまいりました。
巨大なプラットフォーマーによる集中独占が良しとされるデジタル産業主義時代は終焉を迎え、これからは本稿でなんども出てきたマルチステークホルダー同士の対話による「デジタル分散主義」こそが、時代の主流になっていると感じます。
その在り方は、最後に松尾教授がおっしゃっていた「みんなが小さな責任を担い合う」という姿勢そのものとも言えるでしょう。
2020年6月18日には、BGIN最初の公開会議として、ガバナンスWGのToR草案やアイデンティティとプライバシーの強化に関する研究グループなどの主要な問題や、BGINのコミュニティベースを開発するための戦略について話し合われています。
次回のオンライン会議含め、金融庁がマルチステークホルダーの一員として推進するBGINを、引き続き注視してまいりたいと思います。
BGIN Declaration [March 10, 2020]より
6月26日15時〜「BG2C ポストコロナ時代の金融テーマにオンライン会議」
BG2C FIN/SUM BBでは、6月26日(金)15時より、ブロックチェーン技術がコロナ感染症に伴う社会問題解決にどう活用されるのかを議論するオンラインパネル討論を公開します。3月10日に開催したオンライン会議と同じく、世界を結ぶ形で有識者が、ブロックチェーンのポストコロナ時代に果たす役割を金融に限らず、幅広に議論します。同会議の模様は、インターネットを通じて一般向けにも公開します。ご期待ください。
(想定される論点)
- COVID-19危機に対して、既存の金融・社会システムが抱える課題・限界は何か
- 各ステークホルダー(政策実務担当者等)のペインポイント)。
- 課題解決のために分散型技術を活用すべき領域はどこか。
- 金融システムのリデザイン
- 信用収縮時にもワークする分散型技術を活用した非負債ベースの金融システムの構築
- 公衆衛生とプライバシーのバランス(両者の両立のために分散型アーキテクチャをどう活用できるか等
- ポストコロナ社会の金融・社会システムに求められる要件は何か。
- 要件の提示および、それぞれのステークホルダーの果たす役割
<詳細はこちら>
https://www.bg2c.net/onlineconference.html